DIYを超えていくシリーズ 《プロローグ》 購入して1ヶ月の家の屋根が飛んだ話
すべてはここからはじまった話
竜巻にあって
買ったばっかりの中古の家の屋根が飛んだ。
この滅多にないだろう体験は、結果的に
伊豆に移住するきっかけとなる出来事になった。
今住んでいる伊豆の物件はパートナーの一目惚れで
買ったものだ。
私はその頃、家といえば結婚した夫婦が
新築で工務店やハウスメーカーで建てるものと思っていて
中古物件を買おうとしたことがなかったので
静岡県に住んでいると言っても離れた伊豆地域で
築古の一軒家を一括で(ものすごく安い)
購入しようとしているパートナーのことが不思議だった。
彼は温泉が大好きで、海も大好きで
すでにほぼ早期リタイアしかかっていたので
今後の人生をゆっくり景色の良いところで
過ごしていきたい
そして、家は中古で買って好きなようにリノベーションしながら生きていきたいという夢があったらしい。
そんな彼が一目惚れした家は
築43年の物件でもちろんいろいろと古かったが
日本家屋という感じではなく
どちらかというとインドネシアとかバリとかの
アジアな雰囲気がただよう家で
前のオーナーの方も雑貨店を経営していたらしく
素敵なアジアン雑貨がたくさん置いてあった。
居抜きだったので、不用品もたくさんあるけど
いいものもたくさんあるから、と
自分達では絶対手の出ないような
一枚板の大きな胡桃のテーブルや
ヤギの皮のソファーや、食器棚の中の高そうなカップ類に至るまでいろいろなものを置いていってくれた。
家、というよりは本当に別荘ってイメージの
ちょっと現実感がないような素敵な三角屋根の山荘が
あっという間にパートナーの所有物になった。
それが8月の暑いお盆のことだった。
そして1ヶ月が過ぎた9月30日
大型の台風24号がこの山荘と私達の運命を変えた。
伊豆ではなく、静岡の浜松方面に住んでいた私達は
30日の夜から台風の影響で停電となっていた。
台風がきても大した被害がなくいつも呑気に構えていた
静岡育ちの私にとって、これははじめての長い停電で
1週間近く、停電が続いたと記憶している。
だがしかし私達にとって本当の被害はここではなく伊豆にあった。
停電2日目、携帯も復旧した頃
伊豆の管理会社から電話があり
昨日の台風で一部、屋根が落ちたようだと言われる。
屋根が落ちた??なんだそれと思いつつ
この時、台風25号がすぐに迫っていると言うニュースが流れていたので、取り急ぎ伊豆に行ってみることにした。
まず、カインズでブルーシートを購入していく。
この時点では、えー伊豆は停電してないんだー
じゃあ、浜松の方がすごい被害じゃんとまだ呑気に構えていた私。
でも、近づくにつれて、ブルーシートがかかっている
家が多くなり若干不安に。
そして、しばらくぶりに到着した山荘のおうちをみて
え?となった。
普通にこれって壊れてるよね?
え?え?となった私。
思考回路が追いつかず
けれどあまりにも現実感もなく
住んでいる家じゃない、という事もあったのか
まだパートナーが購入したばかりで、私としては
歴史が浅いおうちだったので
それがメンタルにくることはなく
とりあえず出来ることから、片付けよう!と
ポジティブな発言をしている自分がいた。
これが、実家だったり、自分が住んでいた家だったら
泣き叫んだり、崩れ落ちたりしたかもしれない。
悲惨な山荘であることは間違いなくても
失礼ながら山荘とのつきあいの浅さが、この時は現実的な
行動をするという原動力となり
家族より他人に介護を任せるような感じだろうか
仕事のような感覚で、これからどうするかを
考えることができた。
ちなみに、住民票がここになかったことで
行政からの支援は一切受けることが出来ず
購入して1ヶ月でまだ火災保険にも入っていなかったので
すべて自分達でこのリフォームをやるしかなかった。
(一度、リフォームの見積もりを近所の業者に依頼したら、購入金額を上回った)
別荘地だからか、わりと被害を受けた方だと思うが
ほとんど誰にも知られることなく、待ち望んだ
ボランティアのおじさんももちろん来ることはなく
淡々としたリフォーム生活が始まったのだった。
そしてこの日から一年後
こつこつやってきたリフォームを終え
私達はこの山荘に移住することになった。
屋根が落ちた後、静岡県内も大変な被害だったことから
業者もまったく捕まらず
ほぼ全てのリフォームをパートナーがこつこつこなし
屋根に関しては、年が明けるまで、ブルーシートを
かぶせ、知り合いの大工さんの体が空くのを待っていた。
その間に、必要な材木関係を計算し、発注したり
出来る箇所を黙々とすすめていくパートナーと過ごすことで、家の構造や、DIYに私まで詳しくなって行った。
タルキックとかコンパネとか今までの人生で
聞いたことがないような単語にも出会ったし
それがホームセンターのどのへんにあるか
おつかいまで出来るようになった。
そして、自分達でリフォームした事で、山荘の状態も全て把握することができ、シロアリがだめにしたところや
細かい箇所もすべて直すことができた。
台風24号により、屋根が落ちたというよりは
24号で起こった局地的な竜巻で、家の隣の松の木が折れ
それが、塗装のためにかかっていた足場に引っ掛かり
三角屋根をめくってしまったのではないか、というのが
今回の屋根が落ちた原因だけど
その竜巻は神風のように私の人生を変えたと思う。
ここまでやったんだから伊豆に住もう、という事にも
なったし、山荘は私にとっても大事なおうちになり
本当の意味で愛着を感じるようになった。
思っていたよりもずっと器用だったパートナーは
あれからリフォームの技術をどんどん磨き
今ではほぼプロのようなものになっている。
便利な場所ではないけれど
海がみえて、毎日温泉に入れて、1日を大事に暮らせる
今の暮らしが気に入っている。
スピリチュアル的にも、山の上というのがいいのか
もしかして、龍脈なのかと思うほど
すごくラッキーなことが続くようにもなった。
DIY大賞で2年連続、優秀賞、最優秀と頂くことができたり
とつぜんヒルナンデスがやってきて取材されたこともあったし、雑誌にものった。こんなことは今まで通りの
人生を送っていたらありえないことだったと思う。
私はつるの剛士が大好きなので、ロケに来てくれて
写真を撮ってもらったことは人生の宝になってるし
その時まだ私は知らなかったのだけど
めるるが一緒にロケに来てくれて、可愛い子だなーと
思っていたらあっという間にすごい売れっ子に
なっていた。
つるの剛士とめるるが来てくれた山荘は
私にとってパワースポット化していて
どこにいても、すぐにおうちに帰りたくなる不思議な魔力を持っている。
そして、この頃、昔から住んでいる人に
このおうちはかつて、沖縄の琉球王国の王様の一族が
沖縄から東京に移住してきた時につくった別荘なんだよ
と教えてもらった。
竜巻ではなく、神風が吹く家。
琉球の王様の税金対策の物件、、、(税金対策は私の想像です)
パワーワードが過ぎて、たまに手に負えない時もあるけど
私はここが好きだ。