市民にとって価値あるスマートシティを
Smart City戦略室設立から1年が経ち、2020年を迎えました。
東京オリンピックによって、日本が最も盛り上がる1年。オリンピックをテーマにした昨年の大河ドラマ「いだてん」の名ゼリフ、
今の日本は、あなたが世界に見せたい日本ですか?
この言葉が示すとおり、世界を意識した先進的で、且つ日本らしさを感じられる街づくりが進められています。
それはオリンピックの舞台である東京だけでなく、2025年万博開催の大阪もそう。
この街づくりを“スマートシティ”と称し、色んな偉い人たちや、多額な予算が動き始めています。
※スマートシティの詳しいことや定義を語り始めると長くなるので今回は割愛
スマートシティは儲かる(はず)
少し古いデータですが、スマートシティの世界市場は2030年に3100兆円になると言われています。
私たちが生業とするIT分野だけでも、ここ数年だけでもCAGR20%超という成長っぷり。
オリンピック、少子高齢化社会への対策、世界的なスマートシティブーム(?)、そんなビッグウェーブを迎えようとしている状態。やり方次第では儲かりそうな、おいしい市場と捉えることができます。
儲かるからこそ、色んな人が群がる
私はSmart City戦略室 室長という肩書ゆえに、昨年は幸いにも様々な人と出会ったり、講演する機会をいただきました。
スマートシティは広範囲なので、お会いする人たちの業種もIT、建設、エネルギー、自治体など多様。お話していて多かった声が、
「何から始めたらいいかわからない」
というもので、それゆえに私のような人の話を聞きにいき、勉強しているようでした。
もちろん勉強するのはとても良いことだし肯定的なのですが、少し懸念すべき現象があります。それは、
・事例を取り入れる、模倣することが目的になってしまっていること
・模倣は悪いことではないが、それをゼロから創ろうとする人が多いこと
・お会いする方の大半がおじさんであること
これらの現象を鑑みて、私個人としては以下の問題点を捉えています。
・見せかけだけの成長産業になってしまうこと
・街の未来の中心になる人たちが参加できていないこと
誰が企画し、誰が決めるのか、が重要
語弊があるかもしれませんが、極端に言うと
何も考えてない人が価値のない企画をし、
何も分かってない人が意思決定をしている、という残念なスマートシティ
こういうのに多額の金と人が投入される状態になってしまう兆候があります。
私の考えとしては、
市民の暮らしを理解している人が市民にとって価値ある企画をし、
市民自身がそれを活用する/しないを意思決定する、という市民主体のスマートシティ
これが必要であると、確信に近いものを持っています。
手前みそで恐縮ですが、私たちに置き換えて考えると、
LINE Fukuokaの社員やその家族=市民だし、大学生や他社のみなさんと一緒に企画を考える。そして市民のみなさんが主体的に利用する状態をつくる。(逆に、利用しないものは継続しない)
市民の暮らしを起点に、考えるべきなのです。
「何から始めたらいいかわからない」
と言ってる人は、まず市民の暮らしをよく知ることから始めるべき。
また、その地域で暮らしたこともないのに“スマートシティ”という甘い囁きで提案してくる業者は、決して信じてはならない。
原則は、Pay for Value
文字通り、お金は価値に対して払われるべきであり、
世界の3100兆円というビッグマネーも、日本のIT投資CAGR20%も、価値ある取り組みに対して流れるべきお金なのです。
だから私たちなりの、このビッグウェーブの乗り方は結局のところ
価値ある取り組みをどんどんやっていこうぜ。
そして、その価値に対してお金をもらえる仕組みをつくっていこうぜ。
に行きつくわけです。
ここでシビアに現状の価値を見直したい。例として粗大ごみ申請のチャットボット。
LINEで申請・支払いが完結することにより、市民のみなさんは24時間いつでも申請できるし、コンビニに行く手間も省けます。
粗大ごみを捨てるという単一機能にも関わらず、このLINEアカウントは友だち数5万人を超えるヒット作。
市民にとって価値ある取り組み!と言えるかもしれないが、「有償化するとしたらいくらなら利用料を払うか」という視点で考えると、おそらく100円程度が妥当なのではないでしょうか。
それを例えばアカウントの友だち5万人が払ったとしても500万円程度しか売上をつくれないことになります。
※実際は有償化などしません!
まとめ
もちろんこのサービスは市民以外に対しても価値があるので、上記はごく一部にすぎないのですが、こんなふうに「お金を払ってまで使いたくなるサービス価値の追求」にこだわる2020年にしていきます。乞うご期待!
みなさん本年もよろしくお願いします。
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