(詩)オリジナル
オリジナル
借り物でない言葉などあるものか
ぼくらの紡ぐ言葉はみな
手垢のついた凡庸なクリシェ
借り物でない肉体などあるものか
ぼくらを形作る原子もまた
遠い昔に爆発した星のかけら
人生という名の借り物競争
やがてぼくらは土に還り
今日交わした言葉も
忘れ去られていくのだろう
偶さかめぐり逢った
借り物同士の肉体ふたつ
束の間近づき
どこかで聞いた言葉を交わす
それでもこの出会いは
いま ここだけのもの
二度と再現できはしない
ゴールを目指して
ぼくらは走ろう
ふたりの走りこそは
誰のコピーでもない
オリジナル
(MY DEAR 311号投稿作・改訂版)
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