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(詩)選択

選択 

分かれ道でひとり
途方に暮れた
どちらの道も
先を見通すことはできず
魅力と危険に満ちて見える

天からの啓示も
賢者の助言もなく
ただ徒らに時は過ぎるばかり

日は傾き 決断を迫られたぼくは
おぼつかない足取りで一歩を踏み出し
もう一本の道に別れを告げた

それから月日は流れ
多くの野や丘を越えた
旅の道連れもできた

だが今でも時々考える
この道を取ったのは
間違いだったのではないかと

もう一本の道は
どんな国に通じていたのか
どんな花々を目にできただろうか
その道を選んでいたら
今ごろ どこで何をしていたのか

この道を選んで
ほんとうに良かったのか

天を仰いでも答えはなく
目を下ろせば
どこまでも続く道があるのみ

もう一つの分かれ道に来た
どちらの道も同じくらい好ましく
同じくらい不吉に見えた

連れを見やると
彼女は微笑みながら
黙ってぼくに向かって頷いた
手を取り合ったぼくらはふたり
一方の道に踏み入った

先が見通せたわけでも
確信があったのでもない
以前に比べて
知恵をつけたわけでもない

一歩踏み出せたのは
何が起ころうとも
共に歩むだれかが側にいる
ただそれだけ

どの道を取るかではなく
だれと旅をするのか それこそが
たったひとつの大切な選択なのだ

(MY DEAR 327号投稿作)


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