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(詩)不屈の花

不屈の花 


国境を超えて突撃してくる兵士が
最初に殺すのは
人ではなく花である
キャタピラや軍靴の下で
踏み潰され泥にまみれる
コスモスやデイジーたち

花は
病院に落ちてくる爆弾を
止めることはできない
子どもたちが殺される時
抗議の叫びを上げることもできない
花はただそこにあり
蹂躙される

でも花は
塹壕に潜む兵士の手帳に挟まれ
爆撃に怯える家族のテーブルに活けられ
故郷を失った子どもたちの頭を飾る

花は燃やされても潰されても生えてきて
そのはかない生命の美そのものによって
 ―憎しみや死と正反対のものである
  ただそのことによって!―
暴力に立ち向かう

花は侵略者の前から逃げず
顔を上げて彼らを見据える

花はそれを見る者の心に
平和の種を蒔く
それが芽を出すかどうかは
その者次第
一輪の花を愛でる その心こそが
明日の世界を創るのだから

わかっている
これは
非現実的で
非効率的で
非論理的な
平和論

それでも
爆弾の雨が降り
廃墟となった街の
瓦礫の間からは
不屈の花が今日も萌え出るだろう

(MY DEAR 332号投稿作)


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