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古典の雑話 #4 五十音図に関する無駄知識と注意点

 今日は一つの実例として、というよりも文法を一気に学ぶときに少しでも勘違いしないようにする注意点について少し紹介したいと思います。古典は現代と違うものであると意識しないとドツボにハマりやすいポイントと言っても良いかもしれません。本日は五十音図の話を紹介していきます。

○五十音図について

 五十音図は現代語とほとんど同じで、わざわざ覚える必要はないと感じる人が多いと思います。実際それで良いのですが、注意しないと意外と理解の妨げになる点も多いです。
 五十音図についてはそれぞれ注意点としてコラム形式で理解の妨げになる点を紹介しているので、気になるものからぜひ読んでみてください。

あ・い・う・え・お 注意点2 ア行
か・き・く・け・こ
さ・し・す・せ・そ
た・ち・つ・て・と
な・に・ぬ・ね・の
は・ひ・ふ・へ・ほ
ま・み・む・め・も
や・い・ゆ・え・よ 注意点3 ヤ行
ら・り・る・れ・ろ
わ・ゐ・う・ゑ・を 注意点4 ワ行
(ん)       注意点1 「ん」について

注意点1 「ん」について
上の語がいわゆる五十音になりますが、そもそも注意が必要な点として「ん」は五十音には入らないということです。「ん」よりも上のあ〜わ行の10行とそれぞれ5つずつ語があるので、そこまでで50音足りているのです。よく、「わ」・「を」・「ん」と小学校やそれ以前の教育で習いますが、正式には「わ」「ゐ」「う」「ゑ」「を」「ん」となっており、ワ行が全て言い終わったからこそ、別の行に移って「ん」と並んでいるだけなのです。
「ん」をワ行の一部だと思っていると、間違える原因になり勘違いしやすい要素となります。高校生ならそれくらい知っていると、教師側も教えないままにしてしまい思わぬつまずきとして残ってしまうことがあります。

注意点2 ア行
 現代語ではア行は動詞の活用でもよく使われる上に、ワ・ア行の活用(ワ行活用動詞の活用の一部にア行の表記が出るため別称として使われます)と言われるように、古典以上に存在感を発揮しています。それに対して、古典での活躍はかなり地味です。動詞に関して言えば「得」(う):「え」「え」「う」「うる」「うれ」「えよ」という活用する動詞のみで、それ以外はア行以外の動詞になります*。「い」や「え」を見ると、反射的にア行の「い」「え」となるのは現代語だけであり、古典の世界では「い」「え」はヤ行と思った方が間違いが少なくてすみます。

*「〇〇+得」の形、例えば「心得」(こころう)「所得」(ところう)のような派生語はア行になります。基本は「得」の仲間なので、同じ活用となります。古典で「得」という字は少し注意しておくと安全です。

注意点3 ヤ行
 既にア行でも話したことですが、古典の世界で「い」「え」の表記をみた場合はア行ではなくヤ行と思った方が良いです。使用頻度が高いこともあり古典の授業の文法項目で覚えなさいと言われる、上一段活用動詞でも早速登場するため最初から注意が必要ですし、入試直前で取り上げられることが多い、「間違いやすい活用」や「注意すべき活用」といった項目でもヤ行の動詞は登場するため、高校生の間が古典との接点のピークになりそうだという人にとってもヤ行はずっと付き纏い続けます。困ったらヤ行という雑な精神で最初は良いので、ヤ行に対して意識を向けてあげましょう。

注意点4 ワ行
 カタカナで書けますか? といきなり問いかけで始めます。他の語と違ってワ行のカタカナは特別な時でしか使わないため、書けないという人も多いかもしれません。正解は、「ワ」「ヰ」「ウ」「ヱ」「ヲ」となります。ワ行については親しみが薄いため、ひらがな表記ですらやや違和感があるのに、カタカナに至っては違和感の塊だと思います。ただやはりワ行は古典の世界においてヤ行と並んでア行よりも活躍する行です。この違和感を少しでもなくせるかどうかが古典への抵抗感を無くすためには大切になります。古典を勉強する際には少しでも良いので「ワ行」があると意識してみましょう。


という形で、意外と五十音図という小学生でも知っているようなものにも小ネタがあります。ただこういう知識を小ネタとして雑に扱ってしまうと理解が徐々に遅れてうまく理解できなくなり、最後には古典は勉強しないとなってしまうため、小ネタから始めていくのも古典に慣れ親しむのには有効になるので、ドリルのようにガリガリ解いたり、覚えたりするのが苦手な人ほど遠回りして色々知っていくという姿勢が重要かもしれません。
 今回のような雑話をしばらく続けるので、気になるところから読んで少しでも古典に慣れしたしんでもらえたら幸いです。次回は〇〇形の話です。

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