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【日本語】日本語教師の成長に効く「年1のじっくり“本気の教案づくり“」でやるべき4つのこと

現役で教師をしている頃、週に8とか10コマとか授業があって、更にスケジュール作成、教材作成、教師連絡(たまに急な代講!)などなど、今日が終わって安堵するよりも前に、未来がどんどん押し寄せてきているような日々でした。授業準備も、本当に次から次へと忙しいですよね。おかげで時間の使い方やタスク管理が超絶上手くなったと思います。さて、今日は「教案」のお話です。1年に一度じっくりとたっぷりと時間をかけて、一つの項目に向き合う“本気の教案づくり“、のおすすめと実施のポイントについて書いてみたいと思います。好き嫌いがあるかもしれませんが、個人的には成長のためにすごく効くと思っています。

1年に1度の“本気の教案づくり“とは?

私の勤めていた大学では、毎年教師の公募があり、ある文法項目についての教案と模擬授業が必須になっていました。その公募のタイミングで在籍の教師たちも全員同じ条件で教案作成と模擬授業を行う(だけで、審査されるわけではないのもミソ)、というのが慣例になってて、私はこれが好きで、教師の中では稀な、どちらかというと楽しみにしている方の人間でした。チャレンジできて、FBがもらえて、何よりそれを「じっくりじっくり考えた渾身の教案」に対してもらえること。これがすごい充実感と達成感なのです。そして本気で取り組んだ分だけ、多くの学びと気づき、成長のきっかけ、更に新しい扉を開くチャンスも連れてきます。例年夏休み頃で大学の授業もない頃なので、じっくりと1ヶ月くらいの時間をかけて取り組んでいました。

普段は、一つの項目に1ヶ月もの時間をかけることなんて絶対無理な、嵐のように過ぎ去っていく毎日。言い換えれば、1ヶ月もそのことについてずっと考えても良いなんて、なんて贅沢な時間なのでしょう。実際には1ヶ月も使わなくて、せいぜい3週間くらいでしょうか。教案に起こし始めるまでに1週間、たたき台の作成に次の1週間、ちょっと置いてからの修正に1週間、という感じが私のなんとなくのスタイルでした。普段だったら、手をつけないようなところからアイデアを引っ張るもよし、遠回りしてみるもよし、せっかく時間があるので、時間があったらやってみたいことを存分に楽しむことができます。余裕を持っていつもより視座をちょっと高くして眺められることだけでもやる価値あります。

ポイント1:教材研究、例文収集のチャンスと捉え、情報収集すること

時間が潤沢にあるので、教材・教科書研究、例文収集や吟味にもってこいです。私はまず、勤務先にある教科書を片っぱしからチェックします。説明、例文、練習、ドリル、会話…その項目が取り上げられているところを全部コピーして、並べて分類したりします。そうすると、教材による違いがかなり見えてきて、「この教材はこういう意味で推してるのか」「こういう使い方だけをさせたいから、これしか紹介してないのか」とか、結構気づきがあります。取り上げている・いない、練習させている・させてない、プラスでこんなものまで紹介してる、あれと一緒に紹介してる、など面白い発見があります。そして、例文も比較してみると面白いです。本の古さやスタンスにもよりますが、「いやいや、いまどき言う人いないでしょ」「こんなカジュアルなのもこの時点で提出してるんだ」という差もやはりあります。指定教科書がある教育機関などは他の教材を見る機会が少ないので、単純に違いを味わうのも楽しいですし、「あ、これ、うちの学習者言いたがりそうな練習♪」と、アイデアの一つにしちゃうのも良いと思います。まずこれをやってみると、全体的な扱い方の軽重やトレンドの傾向がつかめて、一旦整理ができるので、そこから「じゃあ、私は?」「何を入れよう?どんなふうに何を伝えよう?」「彼らと一緒にどんなことを話そう?」と考えを深めるのが楽しくなります。

ポイント2:やったことのない伝え方にチャレンジすること

せっかくなので、本当の授業じゃないので、チャレンジしてみるのをおすすめします。これまで一度もやったことない導入の仕方、これまで導入に持ってきたことのない方の意味から教えてみる、これまでは分けて教えてたけど、あえて一緒に提出してみる。いろんなやり方があるけれど、「いつもの」やり方をあえて採用しないのがいいと思います。私は毎年必ず、このために考えた導入で勝負するようにしています。おすすめする理由は2つあって、1つは「考える」ことができるから。「いつもの」を疑って辞めてみないと、それよりいいものは生まれないし、一からどうすればいいか考えることが日本語の筋力UPにつながると思うんです。普段はやりたくても満足にできないからこそここはチャンスです。実際、そうして形にしてやってみれば、今後の自分の引き出しの一つにもなります。2つ目は、議論の種になるから。新しく考えてみたことは、参加している他の人にとっても新しいことだったりもして、FBをくれる人にも新しい視点を提示することにもなります。他の先生の普段の授業でのやり方は記録で読んでいたりして、大体こんな感じかなという程度に知っているだろうけど、そのなんとなく知っている(知られている)ものとも違うものを考えてみることで、みんなの筋肉にも刺激を与えて、意見やアイデアの交換が生まれて、そこでまた気づきが増えていく、その時間もすごく楽しいです。一緒にやる人に「私は全く新しいやり方でやるよ」と先に言っておくのも逃げ道を作らないための手です。(私はいつも

ポイント3:これでいける!と思える方法をじっくりとことん考えること

3つ目はとにかくいっぱい考える、納得できるところまで考えるのをやめないことです。普段ももちろんたくさんたくさん考えているけれど、23時頃から明日の1限のための新しいアイデアを寝ないで考えるぞ〜という毎日はきついし、一通り準備ができているなら、体力のためにも無理をしすぎず睡眠を取ったほうがいいはずです。「もっと練りたいけど、一旦ここまでで、これでやってみよう」ということが必然的に多くなってしまったりします。詰め込まれた授業を回していくのは仕方ないこともありますよね。でも、この教案づくりは妥協しなくてもいいんです。とことん考え尽くせます。普段はなかなかできないことをじっくり味わうことができるんです。そして、納得いくまで考えられた、というその事実が 自信にもなります。しっかり考えて作られたことは教案を読めば伝わります。次のポイントにも繋がりますが、人からFBをもらうのが楽しみになりますよ。

ポイント4:FB・コメントし合える誰かと一緒にやること

1人でもいいのですが、可能ならば、誰かとやるのがおすすめです。私は上司の先生方(講評する立場)と同僚(先輩・後輩)と一緒にやっていて、上司からFBや講評をもらえるのが楽しみでたまりませんでしたし、他の先生がどんなアイデア持って来るのかも楽しみでした。人によっていろんな視点があることにも気づかされるし、刺激をもらえます。「どうしてこれを先に持ってこようと思ったの?」「確かにそういう見せ方もあるかもね〜」「これだとちょっとミスリードされちゃうかも?」「このやり方は〜には合いそうだね」…参加者の分だけ教案があって、1つの教案に対してたくさんの意見が出るので、そこにいるだけで、意味の世界、伝え方・見せ方の世界、学習者の頭の中の世界、いろんなことへの気づきがあります。ただ、1人ずつ模擬授業の形でやるので、ものすごく緊張はしますけどね。

教師を辞めてからは、日本語の教案をまるっと作る、ということはやっていないのですが、会社で社員研修を作る時にも役立っている気がします。

ちゃんと取り組めば、絶対に新しい気づきはあるし、アイデアは増えます。考え方も視野も広がります。失うものは何一つなく、勇気とやる気で新しい何かが得られます。持ち寄ってディスカッションできると、もっともっと得られます。
1人で、仲間と、ぜひ。
おすすめです。

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