DL2 - Side Story (Ver.2.51)
(のちの)パーティのたまり場・2
「とりあえずあそこに入ろう!」
追手をやり過ごしてから、デーモンがそう言って、
"D-2" を小脇に抱えたまま物陰から飛び出した。
同じく隠れていたあたしたちも後に続く。
デーモンが向かったのは、何かのお店のようだった。
「大丈夫なの?!」
言ってから、あたしは、そうも言ってられない現状に、
「……行くしかないか。」
いちかばちか、そのお店に入った。
エヴァとクリスも続く。
クリスは念入りに、追跡の目が無いか確認までしてくれた。
「いらっしゃ……」
明らかにワケアリなあたしたちを見て、その女性ヒューマンは、
一瞬にして警戒しただろう。
なんせ、四人の若いエルフが、疲れ切った様子で、表情はこわばり、
挙げ句に一人は小脇に "D" を一羽。
まずデーモンが、何かを制するように右掌を前に向け、口を開いた。
「怪しいモンではない。」
「「「「信じられるかーっ!」」」」
この店の女性店主とおぼしきヒューマンとあたしたちが
奇妙な絆を覚えた瞬間だった。
「ほっほっほ。」
この状況に似つかわしくない、そののどかな笑い声は、この店の隅っこから
聞こえた。
そちらを見ると、にこやかな表情のおじいちゃんが一人で座っていた。
たぶんヒューマンだけど、なんとなく、安心する印象を受けた。
「ガ♪」
"D-2" が呑気に一声鳴いた。
これが、あたしたちと、この店『Crimson x Black』との出会い。(終)
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あとがき
『パーティのたまり場』 https://note.com/mina_minazuki/n/nf7c5779f8ae6
と題して、純粋にあたしの趣味で、
「こんな店に入り浸って冒険とか生活したいなぁ。」
という思いで書き残していたのがありました。
それから4ヶ月半。
よもやこんなカタチで、ある意味 夢が叶おうとは!
いやまだ自分の趣味の範疇を脱してはいないが。
そう、このままパラレルワールドの夢のまま、
あたしの中でだけお話が進むことは充分あることで。
ギルデンスターン入りを果たしたエルフの若者たちにとっての、
おそらくギスギスする都会暮らしにあって、オアシスであって欲しい。
お店の片隅で、やさしい眼差しのおじいちゃんに見守られながら、
『おかみさん』に怒鳴られてクエスト探しに行って、
「やれやれ。」
「ほっほっほ。じゃが、あの頃と比べて、だいぶ逞しくなったのぅ。」
「いやいや。今があの子達にとって一番大事な時期だよ。
甘やかせないね。」
「ほっほっほ。未来の『神々』が見えるわい。ほっほっほ。」
って言われてて欲しい。(終)