女神さまを励ます者たち
みー:ねぇミーファ
ミーファ:うん?なにー?
(何かの魔法書だろう。1冊の本を熱心に読みながら応える。)
みー:女神さま、いまめっちゃ忙しいらしくて、
ミーファ:えっ、そうなの?どれくらい?
(本は開いたまま目を離し、真剣な表情であたしをみつめる。)
みー:んー。アンタらのおハナシ考えられんくらい。
(クリスティーナが聞き耳を立てて近付いて来た。)
ミーファ:え、いや、あの、女神さまの体調とかは?
(本を閉じながら、手近な椅子に座る。)
(クリスも神妙な面持ちで、あたしの答えを伺う。)
みー:うーん。精神的に疲れてるとは言ってたなぁ。
(あたしたちの話し声が気になったのだろう、
エヴァが自室から出て来て、クリスに何事かと尋ねた。)
クリス:女神さま、病気らしい。
エヴァ:えっ!?
(すぐに泣きそうな表情になって、口を両手で覆う。)
みー:いや、病気というワケじゃ……
(ミーファは、思いつめた表情で何かを真剣に考え始めている。
たぶん周りの声は聞こえていまい。)
みー:あの、忙しいって…
クリス:祈りだ。
エヴァ:!!
(ふたりは黙って頷き合う。)
みー:おーい。忙しいだけだぞー。……ってのも失礼な物言いだけども。
(クリスとエヴァは礼拝室に向かった。これから祈りを始めるようだ。)
(ミーファは突然、何かを閃いたようにおもむろに立ち上がり、
持っていた本は書棚に返し、代わりに別の本を探し始めた。)
みー:えーっと。ミーファさん?あなたの魔法じゃ、
たぶん解決しないですよー。
(そこへ、買い出しに行っていたデーモンが帰って来た。)
デーモン:ただいまーっと。今日は肉が安かったぞ!
美味いステーキにしてくれよな!
(と言いながら、さっきまでミーファが座っていた椅子に腰掛けた。)
みー:あ、デーモン、みんながね、
デーモン:ん?ああ。
(きょろきょろと周りを伺う。)
みー:女神さまが病気になったって思い違いをね
デーモン:あ?なんだそれ。
(書棚を探し続けるミーファを親指で指し、)
それで、こうなってんの?
みー:(大きく頷く。)
デーモン:他の二人は?
みー:(礼拝室の方を指差す。)
デーモン:ああ……。祈りに行ったと。
みー:(大きく頷く。)どうしよ?
デーモン:(後頭部を掻きながら大きな溜息を吐き、
少し だるそうに立ち上がると、天井に向かって)
女神さまー!こっちはこんな感じだー!
肩のチカラ抜いて、ラクに行こうーっ!
(すぐそばに居たミーファは、さすがにびくっとなって、
そこで初めてデーモンに気付いた。)
(デーモンは叫び終えると、あたしに向かって)
デーモン:……って伝えといてくれ。俺は稽古だ。
体がなまってしょうがねぇ。
とか、ブツクサ呟きながら、木剣を取って、
中庭に出て行った。(終)
✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲
あとがき
女神さま、こっちはこんな感じでやってます。
あなたはあなたのシナリオを進めちゃって下さい。
彼らは いつまでも待っててくれる……
というか、普段の生活を楽しんでいるので、
たとえばシナリオが進まなくてイライラするー
とかは無いみたいです。
願わくば、クリスとエヴァの祈りだけでも届きますように。
では、また。
✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲:.。.。.:✲†*⭐*†✲
【プロモーション】
5版ソロシナリオ「ドラゴン・レーン」+「やってみた」小説つき2冊セット
https://booth.pm/ja/items/1139099