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資産形成にはいい投資信託+いい投資行動の合わせ技が大事、というお話(+10月上旬の日記)

2024年から新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートし、どの投資信託を買ったらいいのか悩む方も多いようです。

もちろん商品選びは重要なのですが、長期で資産形成をするには、いい"投資行動"が伴うことが大事です。今回はモーニングスター・ジャパンのレポートをもとに、いい投資行動について考えていきましょう。


Mind the Gap(ギャップを埋めろ)

米国で投資信託の評価を行うモーニングスターでは、毎年「Mind the Gap(ギャップを埋めろ)」と題する調査レポートを公表しています。

これは投資信託を購入して持ち続けた際の「トータル・リターン」と、投資家による投資信託の売買のタイミングを勘案した「インベスター・リターン」のリターンの差(ギャップ)について、世界的に調査、分析を行っているものです。

今年はモーニングスター・ジャパンによるレポート「Mind The Gap(リターンのズレにご注意)日本版 2024年 日本の個人投資家は賢明か?」もでていて、米国や欧州、日本を除くアジア、そして、日本の傾向について分析しています(※)。

※分析ユニバースは公募投資信託とETF。公募投資信託のうち確定拠出年金専用ファンドおよびSMA/ファンドラップ専用は除く。分析期間は2024年6月末を基準に過去3年、5年、10年。

トータル・リターンとインベスター・リターン

そもそも「トータル・リターン」と「インベスター・リターン」とは何なのでしょうか。

「トータル・リターン」は投信の成績を評価するときに使われるもので、ある期間における一括投資をしたときのリターンを指します。

例えば1年、3年、10年というように過去のある一定期間を通してその投信が何パーセントで運用できたかを示したものです。「この投信は成績が良い・悪い」というときに使われるのはこのトータル・リターンです。

「インベスター・リターン」は、投信を保有する投資家のリターンのことです。その投信を購入した人たちが実際にどれだけの利益を上げたのか(あるいは損をしたのか)を、保有者全体の平均値として推計しています。

ある投信を購入して、追加で購入したり解約したりせずに一定期間保有し続けた場合にはインベスター・リターンとトータル・リターンは同じになります。

ただ、現実の世界では追加で購入したり、一部解約したり、積立投資なども行われています。そのため、両者のリターンには差(ギャップ)が生じます。なかでも問題なのは、投信自体はいい成績なのに、保有する投資家がそのリターンを享受できていないマイナスのギャップ(トータル・リターン>インベスター・リターン)があることです。

例えば、ある日本株に投資するA投信の過去10年の実績をみると、トータル・リターンは年率11%なのに、インベスター・リターンは8.32%と、2.73%のマイナスのギャップがありました。

つまり、長期にA投信を保有していたら得られたリターンを享受できていない、ということになります。これはもったいない話です。インベスター・リターンの数値は「ウエルスアドバイザー」のWebサイトなどで確認可能です。

日本の現状

米国や欧州では、大部分においてマイナスのギャップがみられます。では、日本ではどうなのでしょうか。前述のレポートによると、

「日本の平均的な投資家の投資行動の影響は、他の地域とは一部で異なる傾向が見受けられた。特に株式型全体で見ると、インベスター・リターンはトータル・リターンを上回り(正のギャップ)、平均的な投資家の投資行動は良かった」

とのこと。株式型では3年、5年、10年のすべてで、インベスター・リターンがトータル・リターンを上回っている(正のギャップ)という結果でした。日銀の買い入れの影響が大きいETFを除いた公募投信に限ってみても、直近10年間のギャップが▲0.8%と大きくマイナスとなっている一方で、直近3年は0.6%、直近5年でも0.3%のプラスとなっています。

公募投信における近年の傾向として、インデックス・ファンドへの積立投資を中心とした資金流入があること。これが株式型ファンド全体で見たときに、ギャップがプラスとなる主な要因だとレポートでは分析しています。

一方で、アロケーション型や債券型、株式型でもアクティブ・ファンド(特に海外の株式に投資をするアクティブ・ファンド)は他の地域と同じように負のギャップ(インベスター・リターン<トータル・リターン)となる傾向が見られました。

持ち続けてもよい投信を選ぶ

こうした結果から見えてくることは何でしょうか。リポートでは以下のように指摘しています。

「投資家は、流行りのファンドをパフォーマンスを追いかけて購入したり、ファンドを短期的に売買するのではなく、長期投資の観点でファンドを選択し保有し続けることが、最終的には良い投資成果をもたらすであろう」

めちゃくちゃ当たり前の結論ですよね。でも、改めて押さえておきたいポイントです。

資産形成を考える上では、流行りの投資信託を購入したり、直近成績の良いものに飛びついたりするのではなく、また「ちょっと上がったから売ろう」というように短期的な売り買いを行うのではなく、長期的な視点で投資信託を選び、長期で保有し続けることが結果的に良い投資成果に結びつくことを示唆しています。

「トータル・リターンとインベスター・リターンのギャップを埋めて」、運用によって生み出される投信のリターンを享受していくことは資産形成を行う上でとても大切なのです。

そういう意味では、やはり長期で持ち続けてもよいと思える投資信託を選ぶ、ということが大前提でしょう。いい商品といい投資行動がセットになってはじめて資産形成ができる、ということなのだと思います。

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日記&日々の雑感(10月1日~10日)

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