褒め言葉をそのまま受け取れる人になりたい
褒めてもらえると嬉しいけど、同時に「そんなにすごくない」という気持ちがこみあげてくる。あなたは私を過大評価し過ぎていると。
だから、クライアントから褒めてもらえたときも「ありがとうございます」とはいうものの、お世辞だろうなとどこかで思っていた。私のモチベーションを上げるための一言なのだろうと。
それは、友達からの言葉でも家族からの言葉でも誰からでも同じこと。
私は今の仕事が好きで、うまくいったときはとても喜ぶ。けれど、それを他者から評価されることはあまり得意じゃない。評価などしてほしくないとまで思う。私の実績を見て、すごいとか言ってほしくない。私がここまでやってこれていることは決して私だけの実力ではなく、関わってくれたディレクターさんのおかげだったり運だったりも関係しているからだ。
私だけですべて行ったことではないからこそ、私は自分の仕事の実績にどうしても絶対の自信を持てていなかった。私のこれまでを見て、変に期待しないでほしいとも思っていた。
フリーランスなんて、成果を出せなければいつでも切られる、今ある仕事だっていつなくなるかわからない。だから現状に満足してはいけないと常に思っているし、目標を達成できたのなら一呼吸おいてまた新たな目標に向かって努力するだけだ。
「自分ってすごいんだ」なんて、自分に酔っている場合ではない。そんなことをしている間に、一気に崖の下まで突き落とされるかもしれないから。
でも、自分のやっていることに自信のある人には昔からひどく憧れがあった。私にはない自信を持っている人たちは、いつもキラキラと輝いて見えるのだ。
私のパートナーもその一人で、彼はしっかりと自信を持っていた。もちろん失敗することもあるしうまくいかないこともあるようだけど、それでも彼には自信があった。だからといって他者に過剰に自慢することはないけれど、自信があるがゆえに彼から発せられる言葉には揺るがない何かや深みを感じ取れるし、仕事のことなら余計に重みがあった。
そんな彼から、この間私の仕事のことについて「ミナさんは全く未経験の分野に一人で飛びこんで、色々苦労しただろうけどやってのけて今はもう生活に困らないくらい稼げているのだから本当にすごいよ」と言われた。
嬉しかったけど、私は彼の今までしてきたとてつもない努力量を知っていたし、私よりもライターですごい人などたくさんいるから「そんなすごくないよ。○○(彼の名前)なら、独立したらすぐに私を追い抜かすでしょ(笑)」といった。
すると、彼は「そんなことないよ!俺はなんだかんだいっても会社員だし、独立しているミナさんとは全然違う。誰でもすぐにできることなんかじゃないよ。絶対うまくいくからやってみなよと言われたって飛び出せすらしない人もたくさんいるし、独立してもうまくいかない時期を乗り越えられなくて会社員に戻る人だっているでしょ。そんな中でもう3年以上も続けられているのは、それだけでもうすごいんだよ。だから、そんなに謙遜しないで!」とちょっと興奮した感じでそういった。
そういえば、シェアハウスにいたころにも同じようなことを言われたことあるなぁと思いながら、私は彼の話をうんうんと聞いていた。
彼の話を聞き終えた後、私は彼に謙遜しているつもりはない、ただ大体いつもそう思ってしまうことを彼に伝えた。
すると彼は「なるほど。ミナさんは、目指している場所がたぶん高いところにあるんだね。だから、褒められたとしてもまだまだだって思うんじゃないかな。」と言った。
そして、続けて「でも、今のミナさんも十分すごいからもう少し自分を認めてあげても良いと思うよ。褒め言葉は一旦そのまま受け取ってみるといいかも。もちろん、お世辞というか社交辞令みたいな感じで褒めてくる人もいるかもしれないけど、そういう人の褒め言葉は薄っぺらいからすぐに気づけると思うんだ。本当の気持ちを伝えている人は、理由がしっかりしていると思うよ。俺はもちろんだけどクライアントや友達も本当の気持ちを伝えてくれている人の方が多いんじゃないかな。だから、そういうときは自分ってすごいんだな、頑張ったなとか認めてあげるといいよ。もっと自信を持ってほしいな」と実際の事例のまじえながらそう教えてくれた。
私は彼の説明にとても納得した。ここまで具体的に教えてくれる人は、今までいなかったかもしれない。
私は社会人以降、周囲から「謙遜しないで!」と言われることが多々あった。そして、そのたびに「謙遜なんてしてないのに…!」と心のどこかでずっともやもやしていた。言われたことに対して自覚があるのなら「いやいやそんなことないですよ、すごくなんてないです」なんて、私はたぶん言わないと思う。それは、言ってくれた相手にとって嫌味に聞こえる気がするとわかるからだ。
ただ、私はずっと他者からの評価と自己評価が合ったことがなかった。周りからできていると言われても、私のなかではまだまだ全然できていないと感じることばかりだった。
だから、褒めてくれたとしても「この人は本当に私のことを見ていたのだろうか?」「簡単にちやほやしないでほしい」とそう思っていた自分がいた。だから、ずっと褒め言葉を否定していたのだ。
でも、彼の話を聞いていて気付いたことがある。私はそんな風にしているから、いつまで経っても自信を持てないのかもしれない。私なんて大したことないんだと思い、自分を労わることを忘れてしまうのかもしれないと。
だから、これからは他者から褒められたときに「ありがとうございます!」と気持ちよく受け取ってみようと思う。
ここ1~2年は自分に足りない部分を他者から教えてもらえたときは、日々に少しずつ取り入れてみるようにしている。私の思考は少し歪んでいる気がするから、他者からの思考をちょっともらうくらいがちょうどよいのだ。
自分を嫌いなわけではないけど、胸を張って好きと言えるわけでもない私。そんな自分から脱出するために、幼い頃の自分のようにまた自信を持てるように変化を恐れずに良さそうだと思ったことにはどんどんトライしていきたい。
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