リトアニア | ミュージック・ジャーニーvol.24
民音ミュージック・ジャーニーへ、ようこそ。
今回は、バルト海の東部に位置するリトアニアに、駐日リトアニア共和国大使館の皆様とともにご案内いたします。
リトアニアは、バルト三国の中で最も南にあり、ポーランド、ラトビア、ベラルーシと国境を接しています。国土の98%を森林や農地で占め、大小約4,000の湖を有する自然豊かな国は、「森と湖の国」と謳われています。2015年より国内通貨がユーロに変換されたため、欧州各地からの旅行先として人気が高まっています。
中世の歴史が息づく首都ビリニュス
14世紀に建設された首都ビリニュスは、多様な民族、宗教、文化が共存する欧州最大級の旧市街で、狭い石畳の道が迷路のように入り組んでいます。「ビリニュスの歴史地区」には、バロック、ゴシック、ルネサンスという中世ヨーロッパの建築様式が数多くみられ、1994年、世界文化遺産に登録されました。とくにキリスト教にまつわる建築物の数は、街の面積に占める割合がヨーロッパ随一といわれています。なかでも「聖アンナ教会」は、33種類の異なる形状の赤レンガで建てられた宗教建築で、かの皇帝ナポレオンが、あまりの美しさに心を奪われ「我が手に収めてフランスへ持ち帰りたい」と語った逸話が残されています。
「ゲディミナスの塔」と「テレビ塔」
街を流れるネリス川のほとりには「ゲディミナスの丘」があります。ここは、かつてリトアニア大公国王の居城が築かれ、首都ビリニュス発端の地といわれています。丘に上に建つ「ゲディミナスの塔」の内部は、兵士の鎧や大砲などが展示される歴史博物館となっており、最上階からは旧市街を一望できます。
1980年に竣工し、高さ327メートルを誇るモダンなテレビ塔は、国内最大の高層建築です。回転式の展望デッキからは、郊外の田園風景とともに360度のパノラマを望むことができます。またテレビやラジオの電波塔の役割だけでなく、夜には市内で開催されるイベントにあわせて変幻自在にライトアップされ、市民に親しまれています。
MO博物館(MO Museum)は、建築家ダニエル・リベスキンド氏によって設計された最新の博物館で、建物自体が現代美術の作品と称され、すでにいくつかの建築賞を受賞しています。リトアニアの現代芸術家の作品が見られることで、多くの愛好家からも注目が集まっています。
リトアニア第2の都市カウナス
リトアニア第2の都市カウナスは、国土のほぼ中央に位置しています。ネムナス川とネリス川が合流する旧市街には13世紀以降、街の防衛に活躍したカウナス城がそびえ、新市街には19世紀に建設された円形アーチの聖ミカエル教会が見られるなど、歴史的建築物が点在しています。街全体は、旧市街と新市街が細長く広がっており、新市街を貫通するライスヴェス通りには、カフェやレストラン、ブティックなど、おしゃれな店が軒を連ねています。
ここは「6千人の命のビザ」で知られる日本人外交官、杉原千畝が赴任した地としても知られています。彼は、第2次世界大戦中、約6000人のユダヤ人のために、日本への通過ビザを独断で発給し、その命を救いました。当時の日本領事館は、彼の功績を伝える博物館として一般公開されています。2020年には、「命のビザ」発給80周年を記念した国際会議が、この街で開催されました。
「トラカイ城」と世界遺産「クルシュー砂州」
首都ビリニュスからほど近くにある古都トラカイは、14世紀頃の首都としての歴史を残します。静寂に包まれたガルヴェ湖の孤島に建つトラカイ城は、赤レンガで造られたオレンジ色に映える屋根が印象的で、湖畔に反映される美しい景観に多くの人が魅了されます。城までは橋を歩いて渡ることができ、城内は博物館として見学することができます。
バルト海を望むリトアニア西部の都市クライペダから、ロシアの飛び地カリーニングラード州との間には、ほぼ南北にわたって全長約98kmの「クルシュー砂州(ネリンガ)」が伸びています。緩やかに湾曲した細長い砂浜が、西のバルト海と東のクルシュー湾を隔てています。夏のシーズンには、美しい砂浜の風景を求めて、近隣諸国から多くの観光客が訪れます。この珍しい地形は、バルト海の神話に登場する勇ましい少女ネリンガが形成したと伝えられ、2000年には、世界文化遺産に登録されました。
リトアニアの郷土料理
リトアニアの主食はライ麦を使った黒パンで、料理には、ジャガイモや豚肉のほか、チーズといった乳製品が多く使われます。もちもちとしたジャガイモ生地に豚の挽肉が詰まった「ツェペリナイ」は、その形状からドイツのツェッペリン伯爵が開発した飛行船に由来しています。夏の定番料理は、ビートルートという真っ赤な野菜と豚肉を煮込んだ冷製の「ピンクスープ」で、ゆで卵やジャガイモを付け合わせて食べるリトアニアの家庭料理です。また「シャコテイス」は“枝分かれした木”を意味する古くから伝わるケーキで、火の上で回転する鉄棒に、生地を幾度と重ねていきながら焼き上げます。見た目はまさに無数の枝が伸びた大木のようです。
世界無形文化遺産「ダイヌ・スベンテ」
4年に1度開催されるリトアニア最大のイベント「歌と踊りの祭典」は、「ダイヌ・スベンテ」(ダイヌは歌、スベンテは宴の意)と呼ばれ、1週間かけて行われます。2003年には世界無形文化遺産に登録されました。2018年は、リトアニア独立100周年を慶祝する祭典として、約3万6千人が集まり盛大に開催。初めて日本の合唱団も参加し、国内で大きな話題となりました。
リトアニアの伝統楽器「カンクレス」
リトアニアの伝統楽器「カンクレス」は、共鳴胴の板に12本の金属弦が張られた撥弦楽器です。世界三大叙事詩のひとつに挙げられる「カレヴァラ」にも登場し、紀元前から伝わる楽器といわれています。北欧やバルト海沿岸の国々でも類似楽器が存在し、それぞれ呼称が異なっています。
1976年10月には、リトアニア舞踊アンサンブル「レトゥア」が来日し民音公演に出演しました。
最後に、駐日リトアニア共和国大使館推薦の音楽家をご紹介します。
はじめに、明2022年に来日公演を予定しているヤウナ・ムジカより2曲をお楽しみください。
<ヤウナ・ムジカ(JaunaMuzika)>
1989年に創設された合唱団「ヤウナ・ムジカ(JaunaMuzika)」は、指揮者兼作曲家のヴァクロヴァス・アウグスティナスが率いる室内合唱団。国内外で毎年60以上のコンサートを開催する、国内で最も著名で最も有能な声楽グループの1つで、第15回国際合唱コンクールでは優勝し、1993年にブルガリアで開催された国際合唱コンテスト協会のグランプリコンテストでも優勝に輝いている。
<プレイリスト>
1.「闇はあなたにとって光」 作曲:Vaclovas Augustinas
2.クリスマスwith ヤウナ・ムジカ
次に、本年2021年に来日公演を予定している「NICO」の演奏を2曲お楽しみください。
<NICO>
「NICO(New Ideas of Chamber Orchestra)」は、“室内楽の新しいアイディア”との意味で、リトアニアの作曲家ゲディミナス・ゲルゴタス(GediminasGelgotas)によって創設された室内楽団。彼らの独自性あふれるパフォーマンスは、国際的な報道機関の注目を集めている。
<プレイリスト>
1.ヴィヴァルディ 四季より「冬」 編曲: M. Richter、 Dalia Simaška–
2.「ロック・ミー・イン・ユア・ライト」
最後に、旅行先として人気が高まる「森と湖の国」リトアニアの休日を散策しているような映像をどうぞご覧ください。
リトアニアの旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。
協力、写真提供: 駐日リトアニア共和国大使館、リトアニア政府観光局
Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-
この記事は英文での提供もしています。
https://www.min-on.org/10323/min-on-music-journey-no-24-lithuania/
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