始まりの視線
グランドを取り囲むスタンド
石でできた階段の一番上に
君はいた
あの日 君が見つめていたのは
視線の先にある図書館ではなく
自分の未来だったのだろう
他の誰よりも輝いていた君
華やかな生活を送る君を
知らない者はいなかった
知っているだけのひとが
“知りたい”ひとに変わったのは
あの日の君の輝きのなかに
哀しい色をみつけたから
君の視線が 近づく僕に移ったとき
君にも確信できたはず
僕たちは ふたりだけのつながりをもつのだと
あの日 君がいたこの場所
僕の視線の先には
図書館の前で みんなに囲まれる君がいる
もうすぐ 君は振り返る
はやくこっちにおいで
話したいことが いっぱいあるから
聞きたいことが いっぱいあるから
僕はまだ 君のことを “何も知らない”のだから