空しい時間

―ねえ、夢を食べるのって、獏よね。
―うん、そうだよ。
―じゃあ、思い出を食べるのは、何?
―いるのかよ、そんなの。
―いないのかな…。
―どうでもいいじゃん、そんなの。

『よくない!』と
わたしは叫んだ 声に出さずに
あなたは 気づかない

わたしとあなたとの間に吹き抜けた
わずかな冷たい風に
あなたは 気づかない

どうでもいいようなこと いっぱい喋ってきた
どうして どうでもいいんだろう
なにが どうでもいいんだろう
わたしのこと どうでもいのかな

さびしくなってきた かなしくなってきた

…わかったわ。何が思い出を食べるのか。
 空っぽだから、何かで埋めようとするんだわ、きっと…

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