ふたりの情景~笑ってくれるんだね~

暮れなずんでいた街が
気がつけば すっかり夜の顔になっている
僕たちは ずいぶん長いあいだ黙ったままでいた

笑ってくれるんだね

君の気持ちを量るつもりなどない

ただ 僕は 
君に愛されるだけの人間であるのかと考える
君の やさしさに 甘えてばかりいる僕が…

テーブルの上に そっと差し出される手
君の白く柔らかな手に 静かに重ねる手
僕の 心の震えを 正直に伝える手
僕は ゆっくりと力を入れて 握りしめる

その力を 本当は 言葉にしたい
ふさわしい言葉など ないのだとしても
言葉にする必要など ないのだとしても
僕は 言葉にしたい

また 黙ってしまうよ 
きっと 僕は

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