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愛してるけど、好きじゃない

再び文章を書くきっかけが、まさか失恋になろうとは思わなかった。

好きな人が最近見たと言っていたドラマを見た。カルテット。
高校時代を思い出す懐かしさ。

当時このドラマに対する解釈をよく話していた人のことがすごく好きだった。
彼の解釈の意味がわからないくらい、私はまだ子どもだった。


唐揚げにレモンをかける論争。
平熱が高いと、耳の後ろがいい匂いがする。

このドラマの中にある些細なエピソードが、当時好きだった人には刺さっているみたいだった。


愛しているけれど、好きではない。
彼は当時そんな人と付き合っていたのだろうか。
1番好きな人とは結婚できない、そう言っていたあなたは。


当時好きだったあなたのことを思い出す度に、あなた以上に誰かを好きになることなんてないだろうと思っていた。


なのに今は、今好きな人は、人生で1番好きな人だった。
悔しいことに。

もう二度とこんなに人を好きになることはない、と、そう思っていたのに。


「ドラマの中くらいはハッピーエンドだったら良かったのに」、と彼は言っていた。
私と会話を交わした時間は、彼のバッドエンドに繋がっていたのだろうか。



彼は私のことが好きなわけではない、ということは心のどこかで分かっているつもりだった。
その事実から逃げていただけで。


セフレにだけはなるな、と、とにかく周囲からそれだけは言われていた。


めちゃくちゃ話が面白い、という訳でもない、というと酷いかもしれないけれど。
面白いというより、優しいというより、面倒見がいい、そんな印象だった。


いつから好きになったのか、そんなの分からない。でも半分、一目惚れだった。

私のことは「癒し」だったそうだ。
温泉が好き、マッサージが好き、好きなことを聞かれてそう答えるあなたにとって、「癒し」は最高の褒め言葉でしたか?


そうだったとしても、私はそれに気づくのがあまりにも遅かった。
特別かそうじゃないかって、一体なんなんだろうな。



昔好きだった人と、今好きな人。
思い出してしまうきっかけがこのドラマなんて、なんとも言えない気持ちになる。

メッセージのやりとりを見返して涙が出た。
自分があまりにも自己中心的で、自分勝手で、そしてあまりにも未熟だった。


恋愛の駆け引きはこうだとか、どうやったら女性が追いかけてくれるかだとか、そういうことを学んでも、実際には上手くいかないもんだよね、と言っていたあなたの裏にあったのは、どれだけ悲しい感情だったんですか。


わたしはわたしのことに精一杯で、気づけていないことがたくさんありました。
笑って誤魔化していたことが、たくさんありました。



なんでもないようなやり取りを見返して、また悲しくなって泣いた。


私の最後のお願いは、あの人の優しさですべて包み込まれていて、わたしたちは、いいえわたしは、何事も無かったようにあなたに話しかけ、しょうもない雑談をする。

関係は1に戻ったけど、0にはならなかった。
上っ面の会話をして、私はどういう感情になれば良いのか、分からなくなってしまった。


私はあなたに、どうしてほしかったんだろう。


......コーン茶でも飲みましょうか。

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