『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』 (東野圭吾 作) #読書 #感想
純粋なミステリーの感想をわざわざnoteにまとめるのは初めてかもしれない。
この本のおもしろいところを端的に2つあげる。(ちなみに登場人物に触れているだけでネタバレレベルではないかと。)
1 手品師だった主人公の叔父
主人公は神尾真世。物語では彼女の父親が何者かに殺害される。彼女と、彼女の叔父(父親の弟)である武文は警察をあてにせず2人で事件の真相を追っていく。
叔父は手品師だっただけあって頭も良い。機転もきく。そして話がうまい。マインドコントロールもさらっと行う。彼女は叔父のことを"あらゆる可能性を考え、瞬時に結論を導き出す武史の機転"について何度も感心している。(249ページ他)
例えば警察官のスマホを盗み見たり。誰かが考えていることを見事当てたり。さりげなく盗撮をしたり。
物語の中で犯人と疑われる人のほとんどが主人公である真世の同級生だ。真世が同級生を信じるならば、武史は同級生を疑う。
叔父である武史がスルスルと謎を紐解いていく様子がおもしろい。
2 コロナ禍の状況の中で起きる事件であるということ
コロナ禍の状況がリアルに描かれている。例えばオンライン葬儀。おもしろいって言い方は不謹慎かもしれないがこういう形のものが広がっていくのかな....という興味はわいた。
葬儀ってなっても帰省しづらかったり。ソーシャルディスタンスを保っていたり。
状況に妙にリアリティがありすぎる、と感じるのでやはり私は"ニューノーマル"を受け入れられていないのだろう。
最後にちょっとおもしろいなと思ったところだけ書いておく(ネタバレではない)
294ページより
「一般的に人間は、何かを想像しながら話そうとすると目が右上を向きやすい。逆に事実を思い出しながらだと左上を向く。極めて大雑把にいうと、嘘をつく時は右、本当のことをいう時は左だ」
へーっていう感じである。ちょっと今度インターンシップの時にオンライン状況下でこれが言えるのかどうか誰かを観察してみたいと思ってしまった....。
変な人と思うかもしれないけれど、もしこれが顕著に言えるなら今後の選考にも活かせそうだ....。
話がズレたがまさに"最近の世の中"を描いたミステリーと言えるだろう。