ふらんすはあまりに遠し、けれども
朔太郎のいうようにフランスは遠い、今でも遠い。
でも近いともいえる。
なぜならふいっとフランス人と友達になったりできるからだ。
日本大好きな20代のフランス女性と友達になった。
絵葉書を送りあうpostcrossingで。
絵葉書を送りあうけれどInstagramで写真を見せ合うこともできる。
フランスの野に一面に咲く真っ赤なケシの花。
与謝野晶子が歌った火の色の雛罌粟(こくりこ)だ。
君も雛罌粟われも雛罌粟。
もちろんネットで画像検索すればいくらでも見られる景色。
でもフランスに暮らすフランス人の友人から送られてくる、
彼女の家の裏に広がる真っ赤な雛罌粟は
知らない人がみた景色と全然違う。全然。
彼女に晶子の短歌を説明する。
こんな詩があるから、coquelicotが大好きなの。
彼女はたどたどしくよみあげる。
「ki mi mo coquelicot, wa re mo coquelicot」
わたしはcoquelicotの発音を胸にしまう。
それ以来、赤い雛罌粟が咲くと彼女から写真が届く。
coquelicotが咲きました、と。
今のわたしにフランスは遠くて近い。