つぶやき「一陣の風のように」【青ブラ文学部】
一陣の風のように40代が過ぎてしまった
ずっと風が吹いていて
ほこりが入るので目を閉じて
立っていられなくてうずくまり
なんとか子供たちを自分より先に進ませ
体力も気力もなくなって
「 ああ もう人生は終わりだ
夢なんか無理 」
散り際の桜のように
やたらとそんな思いが降り続けた
それは花筏になってどこかへ流れて行った
たぶん海まで流れて行った
何故だろう、今の私より10才も若かったのに
でもずっと
もうだめだ、もうだめだ、と思っていた
そして目を開けて立ち上がると
あっというまに
一陣の風のように40代が過ぎ去っていた
このままでは50代も風のように去ってしまう
50代の中頃になってやっと
目を開き、立ち上がって
踏みとどまろうと思った
ちがう、一歩一歩、確かめながら進もうと思った
行先を決めて歩こう
まず行先を決めよう
でもときどき力尽きて倒れ
新しくできた友達の服の裾をひっぱるようにして
泣き言をいう
今朝も泣き言をいいたくて
倒れている
でももうすぐ桜が満開になるから
立ち上がって見にいこう
*山根あきらさんの企画に参加します