「桜餅・柏餅」Pre春弦サビ小説
作詞・歩行者bさん
作曲・理生さん
歌・わたし
🌸上記「さくらもち」より
「これ」
ふいに訪ねてきた彼の弟が和菓子屋の紙包みを差し出した。
「なに?」
私も彼に合わせて久しぶりに会ったことへの挨拶を省く。
「柏餅」
「…」
私は手にした包装紙の感触とその重みを懐かしんでいた。
きっと中には柏餅が五つ。
草餅のつぶあんが二つ。
白いこしあんが二つ。
薄いピンクのみそあんが一つ。
「みそあん、だれが食べるのよ…」
私はつぶやく。
みそあんの柏餅が好きだった彼はもういない。
桜餅が大好きだった彼。柏餅も大好きだった彼…
「おれ」
彼はそういって私の手をつかむ。
「外に行ってそれ食べようぜ。
川に鯉のぼりがたくさん泳いでるのを見ながらさ」
「ばかね。
子どもの日はもう終わったじゃない…」
私は少し笑ってそう言いながら彼の手を振りほどき、
スマホと鍵を手に外へ出る支度をしてサンダルをはいた。
鯉のぼりがいなくたって、外は気持ちの良い緑の風が吹いているだろう。
…ありがとう。
私は聞こえないほど小さくお礼をつぶやいた。
*フライング投稿おねがいします🌸
サビ小説になっているかよく分かりません…後日談みたいになってしまいました(^-^;