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アン・タイラー『この道の先に、いつもの赤毛』小川高義訳、早川書房

楽しく読んだ。軽めの小説なのでちょっとした旅行に持っていくのに向いているかも。英語の題名も日本語訳もセンスがいい。考えたらアン・タイラーを読むのは初めてだ。

淡々と穏やかに暮らす中年の独身男。でも恋人はいるし、パソコン出張の自営業もなんとか成り立っているし、にぎやかで楽しい親戚(女が多い)はいるしで、少しも暗くない。彼はおしゃべりではないけれど、無口でもないからお客ともそこそこスムースに会話するし、何も問題なさそう。毎日ランニングして、住処をきれいに保って、きちんと暮らしている。過去に恋人がいてもなんとなく相手が去ってしまう、結果としてひとりで暮らしているというのが唯一の悩みか。あまりハラハラすることもなく、出てくる人たちはみんなごく普通の人たちで、別に退屈じゃないのだけどそれほど強く印象に残る読書ではなかったかな。(でもこんな小説もそれなりにいいものだと思う。)

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