【読書】お酒のお供に・・・
皆さんは普段どんな場面で読書をしますか。
通勤中の電車の中で、カフェで、自宅のソファーに座って等、
いろいろあるかと思います。
私は、時々お酒を飲みながら本を読むこともあります。
今回は、そんなお酒のお供にぴったりの短編集について書きます。
『ほろよい読書 おかわり』(双葉文庫)
好きな作家さんの作品も含まれていたこと、
そして、私自身もお酒好きであることから惹かれて読みました。
主人公は女性である作品が多く、お酒に興味のある女性だと
よりのめり込みやすい印象です。
ただ、お酒を飲むだけのお話ではなく、お酒にまつわる話も出てくるので、
ちょっとした豆知識も得られました。
各話でメインとして出てくるお酒・食材とともに、
そのお話をご紹介します。
青山美智子『きのこルクテル』
【ノンアルコールカクテル】
お酒が飲めない記者・永瀬旬がとあるバーで、
女性バーテンダー・東郷いづるに出会い、惹かれていくお話。
お酒をつくることを生業にしている女性を前に、
下戸であることをつい隠してしまう永瀬ですが、
とある”話題”をきっかけに、少しずつ彼女との距離を詰めていきます。
その話題というのも、何だかほっこりとするもの。
不器用な大人の恋のお話でした。
朱野帰子『オイスターウォーズ』
【オイスター・日本酒】
スタートアップの代表としてフォロワー数の多い城戸行人がツイートした
「誰か一緒に牡蠣を食べに行かないか」という声掛けに応じた若手女性OLの
上原莉愛。
実は、彼女は密かに城戸への復讐心を燃やしていて、
城戸は城戸でそんな彼女の思惑について知りつつも静かに応じるのです。
彼には彼なりに、彼女に話したいことがあるようで・・・
お話の中で視点がころころと変わるので、徐々に二人の本音が見えてきて、
ハラハラドキドキしました。
一穂ミチ『ホンサイホンベー』
【ジン】
父親の死を受けて久しぶりに帰省した女性・彩葉(いろは)と、
継母のベトナム人・ホアンが再会し、
香り立つジンを飲みながら、過去のわだかまりについて静かに語るお話。
少女だった彩葉と若かったホアンの青臭い嫉妬心が露わになった時、
はらりとそれ以上の衝突や深い交わりを避けるように嘘をつき、
彩葉を突き放すホアンが魅力的に感じました。
女性同士、しかも娘と継母という関係の惹かれ合いと
つかず離れずのやりとりが、ほろ酔いのような余韻を残すお話でした。
奥田亜希子『きみはアガベ』
【テキーラ】
中学三年生の凛子は、近所で一人暮らしをする叔父・圭一郎の家に
度々遊びに行きます。
結婚する様子のない叔父に対して、凛子は恋愛感情のない人間関係を望み
悩んでいることを打ち明けます。
彼女の清らかな理想を聞いた圭一郎は、ふと自分の過去を振り返る
のですが、彼には恋愛についての苦い思い出があって・・・。
西條奈加『タイムスリップ』
【日本酒】
結婚について悩む葉月が行きついた先は、
赤提灯が下がった雰囲気のある居酒屋。
日本酒にやたらと詳しいメガネ男子・沖に誘われて店内へ入った彼女が、
美味しいご飯と日本酒と店内の人々との会話を通して、
気持ちを整理していきます。
お酒と美味しいご飯が人の心をほぐしていく様子が描かれていました。
個人的には、男性が話す日本酒ウンチクに、
思わず唸ってしまいました(笑)。
本作は、タイトルにも『おかわり』と書いてあるように、
短編集の第2弾のようです。
ぜひ今度は、第1弾のほうも読んでみたいなと思います。
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