図書館と地味ということ
文学部の大学生だった頃、本好き文学少女だった者の常として図書館で働くことに憧れていた。地方の地味な女子大の真面目で地味な女子大生だったので司書の資格を取り、教職の資格も取り司書教諭の資格も取った。
父は公務員だった。母は正規に働いたことはなくパートだったが若い頃の夢は学校事務の仕事をすることだった。親戚は高校教員が多かった。そんなわけで微妙に公務員推しな家庭だった。質素で地味な家庭だった。
そんな夏休みに大学の図書館でバイトをした。静かで地味だった。私はなんだかこれではあまりにもずっと地味すぎると危機感を持った。司書の仕事には滅多に着けないと知っていたし、その前に公務員を目指したりしたらあまりにも延々と地味すぎる。図書館員をあきらめて、一般企業に就職しようと思った。そう決心したときの明るくて天井が高くてとても静かな図書館の空気を今でも覚えているけれど、その建物も女子大ももうなくなってしまった。