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ブランケット症候群が初耳の方へ伝えたい

毛布フェチだなんて親戚には馬鹿にされていましたが……。


皆さんはブランケット症候群というフレーズを聞いたことはありますか?
別名、安心毛布、(英:security blanket)ライナスの毛布と言うらしいです。

『スヌーピー』の登場人物である男の子ライナスのように、特定のアイテム(多く見られるのは毛布やぬいぐるみなど布系のもの)を持つことで、精神的な安心感を保っていられる状態のことを言います。

今まで知らなかった、聞いたことがなかった人も、思い当たる事柄がもしかしたらあるのではないのでしょうか。

私は現在31歳ですが、実に20代半ば頃までこの安心毛布に取り憑かれていたと言っても過言ではないくらい、一つの毛布に執着していました。

母親曰く、母方のお婆様が買ってくれた手触りの良い綿毛布で元はピンク色をしていて、(経年によりだいぶピンクではなくなっていました。笑)中心にはカフェテーブルとうさぎが描かれていて、女の子が喜びそうなデザインそのものです。

この毛布は私が産まれた頃に贈られたもので、気付かずとも本当に産まれた頃からずっと愛用していたものでした。

「もっぷちゃん」と名前をつけて、寝るときには絶対一緒。
旅行に行く時なんかも、もちろん連れて行きます。

さすがに学校まで持ち込んだり、家中どこでも肌身離さず持っていたわけではありませんでしたが、家族や親戚には「こいつは異常だ」と思われるくらい、もっぷちゃんをもう一人の自分とばかりに大切にしていました。

それは小学生になっても、中学生になっても、高校生になっても、大学生になってまでも変わりませんでした。

ある時、もっぷちゃんとの間に僅かながら別れの危機が訪れます。
結論から言えば、不思議な力?によって回避されましたが……。

家が火事に遭ったのです。


詳細は伏せますが、私の部屋が出火源でした。
しかし、たまたま外へもっぷちゃんを連れ出していたのでもっぷちゃんは火に燃えず済みました……。

この時は本当に安心というか、なんというか、ホッとしたの一言では言い表せない感情でいっぱいでした。

家財が燃えた、煤になっただけで人命だけは助かったのも大きな安堵感があります。

たまたま外へ連れ出していたのも、本当の偶然です。
流石に日頃から頻繁にお散歩はさせてなかったですね!

奇跡のような気まぐれで、「今日は家に置いておけないな」と思い一緒に出掛けていました。

振り返ると、ここまで勘が働くことは後にも先にもないでしょう。


ここで私がどれくらいこのもっぷちゃんにお熱だったかというと、
一対一でなら本気で会話ができると思っていた!

もっぷちゃんを毛布ではなくて、一人の人間だと思って接していた節があります。
とはいえ、常日頃からべったり持ち歩いていたわけではないです。

普段は程よい距離感というか、せいぜい家から出る時、家に帰る時に挨拶をして寝る時には必ず一緒ぐらいかな。

声に出して会話をしたこともほとんど無いです。笑

ただ、冗談なのか本気なのか、私の異常ぶりに恐れをなした父親や親戚が「捨てるぞ」などと言った時には、心から怒り時には大泣きなどもしました。

それは私がどれだけ大きくなっても変わりませんでしたね。


時を超えて、遂にもっぷちゃんとの別れはやってきます。

再び結論から言いますと、もっぷちゃんとの別れは第三者によって捨てられることで訪れます。

ある日、寮がある仕事をしていた時でした。
(親元にいたくなくて寮付きの仕事を志望していた時期です)

私が精神疾患を抱えていることは、別記事でお伝えしていますが、ちょうどこの寮で暮らしていた頃も不調が訪れます。

私のトリガーは不眠です。

きっと多くの人がそうでしょうが、全く眠れない日が4〜5日続くと幻覚や妄想に取り憑かれ警察沙汰や、はたまた精神病棟に入院することになるのです。(これまでに二度、あります)

二度の警察沙汰や、精神病棟への入院の経緯はまた別記事で書くとします。


不眠が続き、側から見たらとち狂った私は、突然もっぷちゃんを置いて東京へ新幹線で向かうのです。

結果として数日〜しばらく寮を空ける事になってしまったので(それも、音信不通)連絡が確認できるようになった頃には、寮にあった荷物を完全に撤去したとのこと……。



いいえ、仕方ないんです。

入寮前に規約があった確認もしました。
サインもしました。

ただ、本当にこんなことがあると思ってなかったので現実を受け止めきれず、喪失感すらも湧かなかったような、そんな記憶があります。

というのも、既に入院中だったので様々な感情が乏しかったのも関係している気がしました。

大切にしていた我が子が突然、事件や事故に遭ったと言ったら、大袈裟に聞こえてしまうでしょうか。あまりに突然の別れだったので、これが天命なのだと受け入れる他なかったのかもしれません。

はたまた、そうすることで己の傷を最小限に留められる術だったのかもしれません。

今でも、もっぷちゃんを忘れることはないですし、たまに夢に出てきたりします。
皆さまにこの一連の悲しみを分かりやすく伝えるとしたら、ペットロスに近いものではないかと思います。

本当のペットロスも経験がありますが、産まれた時から一緒に過ごしていただけあって、飼っていたウサギを亡くした時以上に深刻なロスが今でも私を包んでいます。

彼女-もっぷちゃん-がよかったので、代わりのものを用意しようといった考えはありません。夢では本当に、あの香りや手触りを追体験のように感じることができます。

夢から醒めると、あ……今のは夢だったんだと落胆もします。

しかし悪いことばかりではないのも事実。

受け止めきれない現実が突然やってきた事により、様々な事象に対して諦めがついたり、妥協するという選択肢を選ぶことが楽にできるようになったと思います。

これは一つの言い聞かせかも知れませんが、もっぷちゃんの喪失(=大切な人との別れ)によって得られた私の大きな成長なのだと感じています。

つまり伝えたいことって?


タイトルにもある通り、ブランケット症候群が初耳の方や身近にいらっしゃらない方に私が伝えたいこと。

それは周りの今後、安心毛布を持っている人がいたとしたら決して否定的な態度は取らないでほしい。彼ら彼女らはきっと想像を絶するほどに繊細な性格をしていると思う。

間違っても取り上げるなんて真似は絶対に禁忌!

安心毛布の度合いは様々ではあるだろうが、私は実物を無くしてしまった今でも尚ブランケット症候群だと思っている。

そう、よく言ったものであるが私の心の中で今でも、もっぷちゃんは生きているのだ。

宝物なんて言葉では足りないくらい大切に思っていた、一人の人でした。


前回の記事から日が少し空いてしまいましたが、新年一発目の記事は私の異常なまでの、ある毛布に対する執着についてを選びました。

まだまだ書きたいことたくさんあります!

時間もそうですが、気力が無いと記事が書き切れないので更新は不定期になりそうですが、皆さんの好きやフォローが何よりの原動力となっています。

少しでもこの記事が気に入っていただけましたら、スキしてもらえたら嬉しいです!

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