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『암전』 ワーニング その映画を観るな

冒頭。
映画館の客席に座っている主人公。
なんだかじっと見ていると不思議な気持ちになってくる。
スクリーンのあちらもこちらも映画館の客席同士で向き合っている。
映画内映画というのはよくあるものだが、客席を正面から映すというのは斬新だなと思った。

そんでもって結構いきなりホラー。
脈絡もなくホラー。
ホラーはあまり得意ではないけど、イェジ様がずっとスクリーンに映っているので目を凝らしてみる。コ・ムニョンみゼロのナチュラルイェジ様。良い…。
黒髪だと思っていたら、銀髪…?良い…。
化粧っ気もなく、服装にも気を使っていない感じの役だけど、美しさが滲み出る出る。それにしても演技が上手だなぁ…。と思う。台詞という台詞はほとんどないけども、爪を噛んだり、眼鏡をかけたり外したりという何気ない動作が、素晴らしい。ナチュラルに役の癖を取り入れてくる感じ。本当にこういう人がいそうだと、イェジ様は魅せてくる。コ・ムニョンとは全くの別人すぎて本当に同じ人が演じているのだろうかと疑問が湧くほど。
ほぼすっぴんのようなメイクなので、メガネをしてないときはなんだかあどけない少女のような顔で、美しいイェジ様がかわいい…という感じ。美しさもかわいさもかっこよさも兼ね備えている。本編ほぼイェジ様、出ずっぱり。私的には最高。内容的にはよくあるというか、THEホラーという感じなのだけど、夢なのか現実なのかわからない描写、じわりじわりと近づいてくる恐怖、そこに翻弄されていくイェジ様から目が離せない。ふつうにおもしろい。ソ・イェジ、本当に魅力的な人…。
そして、『サイコだけど大丈夫』ファンにはたまらないジュリオンマ!カメオ!なんか共演してるだけで涙出そうになった…。この映画の公開は2019年8月15日(私の誕生日で運命かよ)なので、サイコよりは前だけど、まさかここで2人をみられるなんて〜!はぴはぴ!

暗転
というタイトル通りカット割りは、短い暗転の連続で恐怖を駆り立ててくる。そもそもホラーというのは暗転が多い特性があるかも知れない。チカチカする照明、雨や雷、薄暗い密室。
ライティングが特徴的だなと思って見ていて、恐ろしいこと起きるぞ〜というシーンでは象徴的に赤。現実的ではないのだけど、恐怖を煽ってくるし美しくもみえる。あと、携帯のライト。これもかなり象徴的。携帯の光は生っぽくてそれも作られた照明とは違ったリアリティに。今時っぽい演出でいいなぁと思った。狂ったようにシャッターを切るミジョン。
出てくる亡霊は確かにおぞましく恐いのだけども、それはあくまで物質的な恐怖で、この映画で言いたいのは、ホラー映画をなぜ作るのか、みたいな部分をメタ的に表現している気がする。ホラー映画を撮るために身近な恐怖体験を集めて、狂気的に執着していく様子や、人を怖がらせるホラー映画を撮りたいがために仲間を犠牲にしてしまうという、人間の恐ろしい部分をさらっと入れてきて、「どこまでがフィクションなんだ?」という台詞に映画内映画の構造的なおもしろさもきちんと落とし込んでいる。実際に体験したことなのか、妄想なのか。映画の中の出来事なのか。錯乱していくミジョンとだんだんとリンクしていって、なにがなんだかわからなくなっていく。ハッピーエンドではないでしょうね。と、意味深な台詞をどう捉えるか。ミジョンの笑みを安心するような不安になるような気持ちでみていた。
最後は少しムニョンみがありましたね。

それにしても、邦題『ワーニング その映画を観るな』はどうにかならなかったの…?英語タイトルからの直訳みたいだけど、原題のままでも良かったのでは…。タイトルが映画にかなり大きく影響しているのに、この邦題は酷いよ…。

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