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14.📘 わたしのアグアをさがして 深沢 潮

主人公莉子が、失業し、結婚間近か!?と思っていた彼氏に振られるところからはじまる。

彼氏と最後に行ったスペイン料理店でみたフラメンコ。

そこで出会った千尋さんに会いに、スペインへ行きフラメンコを習う。


トミコさんという日本人初のフラメンコを踊った人との出会いが彼女を変えたのだろう。
トミコさんから教えてもらったアグアという言葉。『水』『私にとってなくてはならないもの』という意味らしい。

最初は、ただ思い付きで行ったスペインだけれど、
気づいた時には、フラメンコにのめり込んでいた莉子。
そして、最後にアグアを見つける。

私の中で心に残った言葉を記します。


①トミコさんが莉子に言った言葉。

あなたの人生にとって大事なことはね、アグアを見つけること。それも、考えてわかるものじゃなく、直感でこれ、とわかるアグアよ。そして、それを大事にすること。アグアは私のように恋人でなくてもいい。ずっと支えになるもの。そして、アグアと共に自分の人生をしっかり生きる。人がどう思うかではない。他人からは愚かに見えたっていい。自分が納得する道を行くの。道は人に与えられるものではなく、自分で見つける、切り拓くものよ。

②カルソタータを食べている時、トミコさんの訃報を聞いた時の莉子が自分に向かって叫んだ言葉。

私は生きている。だから、食べて、飲んで、愛して、フラメンコを踊る。

③トミコさんのことを考え、これまでの人生を振り返った時の莉子の心の声や気付き。

自分が見つけた新しい価値観と、縛られてきた古い価値観とがぶつかって、葛藤し続けたし、これからもそれは続くだろう。だが、ときにおりあい、時に闘うことが成長するということで、それは、命を終えるまで、自分ひとりで挑むものだ。自分はどうやって死ぬのだろうか、とふと思うと怖くなるが、結局人間死ぬ時はひとりなのだ。ならば、トミコのように気高く人生を終えたい。誰かに振り回されて生きたくない。自分は自分の人生をしっかりと生きていく。

一人っ子で、父も母も結婚してほしいと思っていたり、フラメンコに反対されていたり、恋も色々あったし、、、でも、自分の人生を生きていくと決心した時なんだろうなあ.

④最後!自分のアグアに気づいた瞬間。

フラメンコの公演にて、、、

『ものすごく気持ちがいい。踊ることができて、なんて幸せなのだろうと心から思う。私にはフラメンコがある。フラメンコに出会えてよかった。フラメンコが大好きだ。ありがとう。ありがとう。世界中にありがとう。胸のうちで繰り返していると、どこからかハレオが聞こえてくる。『アグア!』はっきりと聞き取れた。あれは、トミコの声だ。全身に、雷に打たれたような衝撃が走る。』
『今悟った。莉子にとってのアグアは、自分自身だということを。なくてはならないもの、それは『わたし』そのものなのだ。自分が脅かされるのは耐えられない。私わ私を大事に生きていく。誰にも支配されず、誰にもおもねることなく、自分を持ち続ける
。』

心に響く本でした。

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