カミカミのカミーノ
この前、『ぼくのお日さま』という映画を観に行った。大好きな池松壮亮が主演だったので、その存在を知った日から何ヶ月も公開を待ち続けた作品である。
なによりもまず、映像がキラキラしていた。とにかく光で溢れていてキラキラしまくっていた。差し込む陽射しが北海道の雪やスケートリンクの氷に反射していて、画面は常に白や黄色に輝いていた。写ルンですで撮ったかのような哀愁漂う色合いがひたすらに続くので、観ている時も観終わった後もポケーーっとしてしまった。
そして僕は、分かりやすく結末まで描かれた作品よりも「起承転k…」くらいでぶつ切りしてくる作品の方が好きなのかもしれないと思った。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』みたいなぶつ切りのやつ。寝てる間に見る夢もこれに近いのだが、「あぁぁっ、もうちょっとだけ見ていられたら気持ちいいのにっっ」くらいで急に、もやもやを残したまま終わってしまう方が良いのかもしれない。ご飯も腹八分目が良いとか言うくらいだし。
あと、すごく冬が待ち遠しくなった。それこそスケートをしたり、スキーをしたり鍋を食べたりしたくなった。北海道とか北欧みたいなとにかく涼しい所へ行きたくもなった。そんな気分になったもんだから映画館を出て現実世界の蒸し暑さに心底うんざりした。
とはいえ、そんな暑さも今週に入ったあたりからやっと落ち着いてきた。まだまだ朝晩だけではあるがかなり涼しいのでわくわくする。ようやくのようやく、このくそ熱い夏が終わって快適な秋が来る気配が感じられる。
そしてそんなことを言っているうちに夏休みが終わった。富士山に登れなかったことだけは悔やまれるが、色んな所へ行けたのでものすごく楽しい2カ月だった。ただ夏休みが終わったということは、卒論の締切が急激に近づいたということでもある。現状何も進んでいないのでかーーーーなりまずい。
先週、2泊3日で友達と熊野古道を歩いてきた。卒論のためでもあるし、単純に興味があったというのもある。せっかく時間があるので1週間くらいかけて中辺路を完全制覇する予定だったのだが、宿代とか交通費を計算しているうちに「これは破産する」と悟ったので滝尻から熊野本宮大社までの短縮版に変更した。とっくの昔に大金欠へと陥ってしまっていたのだ。
歩いていて感じたのだが、熊野古道には外国人ばかりで日本人がほとんどいなかった。もちろん「ただの平日だったから」という理由で片づけることもできるのだが、にしても日本人が少なすぎるように感じた。おじいおばあ世代はそれなりに時間があるはずなのだからもう少し歩いていてもいいんじゃないのか、とずっと思っていた。これは卒論に使えるかもしれないし使えないかもしれない。あと、クレカが使える宿をちゃんと選んだはずなのだが、帰り際の会計時に「あの、現金のみなんです、、」と言われてむちゃくちゃ焦った。宿探しを始めるのが遅かったせいで1泊15000円もするこの宿に泊まるしかなかったのだが、そんな多額の現金を持ち合わせていなかった僕らは「下山したらすぐ振り込みます、、」と言うしかなかった。あんな口約束を信じてくれたあの若いオーナー夫婦には感謝しかない。
全体的な感想としては「思ったよりしんどかった」と「山の中涼しすぎる」と「景色がほぼずっと緑色」の3つ。とにかく都会の喧騒とは無縁の、静かで気持ちのいい空間だった。短縮版とはいえ歩けて良かったし、改めてサンティアゴ巡礼をしてみたくなった。
そしてこの巡礼の頃から滑舌が日に日に悪くなっている。何かの病気なんじゃないかと自分で心配になるくらいにはよく噛む。ただ、話してる側としてはなんかまあおもろいので別にいいかとも思っている。来週は内定式なのでそこではさすがにハキハキと喋るように心がけたいが、オンライン開催なのでバレない気もする。とはいえ再来週からは店舗での内定者アルバイトが始まるのでそれまでには治したい。
あと、友達に誘われたので来年の2月に神戸のハーフマラソンに出ることになった。マラソンなんてしんどい行為はもう2度と、2度とやらないと心に誓っていたのだが、なんの前触れも無くLINEが来た瞬間に「うおーーまじか!熱い!!いや、待てよ…いやまあーーー、ハーフなら、、やるか、、、」となった。やっぱり僕は、巡礼やマラソンのような苦行というか追い込む系の何かが好きなのかもしれない。この「しんどいと分かっているのにやりたくなる現象」がなぜ起きるのか、僕は卒論を通してそれを知りたいのだ。とりあえず卒論もランニングもぼちぼち頑張ろうと思う。