富と美
リスボン旅行振り返り。
何度となく行く土地なのでもういつものお気に入りの場所にしか行かないけれど、やっぱり人が優しくて歴史と情緒に溢れた魅力的な土地だなと思った。
義姉カップル+ポルトガル人の義理の従姉妹カップルと落ち合ってみんなで久々に集まれたのもよかった。
久々に行ったグルベンキアン美術館がとても良かった。
アルメニア商人のグルベンキアンは石油開発で財をなして、一時期は世界一の富豪だったらしい。
芸術好きで一番いいものを集めたいという思いから集め出した個人蔵コレクションは質が高くバリエーションに富んでいる。
世界中の美術作品を満遍なく一通り知るには凄くいいコレクションだなと思った。
アルメニア人でイギリス、フランス、イラク、ポルトガルに住んだ彼がリスボンに美術館を作った理由は「自分のコレクションを永遠に残したかった」から。
晩年にポルトガルに住んでいてどこに美術館を作るか悩んでいた時に、ポルトガルのとある大臣にこう説得されたそうだ。
「イギリスやフランスには名の知れた美術館が沢山ある。
だがここポルトガルには小さな美術館しかない。
ここに作ればあなたのコレクションのは半永久的に大事にされるだろう」
この言葉通り、今でもリスボンでは大多数の観光客が訪れる有名な美術館として知られている。
きっとパリなんかにあったら、他の大美術館に埋もれて中途半端な存在だったことだろう。
全体をみて自分の立ち位置を知ることは大切だなと思う。
次に良かったのがリスボン郊外のベレン地区にあるB-MAD アールデコ べラルド美術館。
アール・ヌーヴォーとアール・デコの家具、調度品、美術作品がそのまま当時のインテリアのように飾られていた。
まるでその時代の著名人の家にお邪魔したかのような空間を味わえる。
2021年にオープンしたばかりの美術館で、建物も家具類も修復してあるため状態がとてもいい。
アール・デコ作品の部屋はギャツビーの邸宅にお邪魔したかのような気分が味わえた。
オリエンテ美術館とマカオ博物館ではポルトガルとアジアの関わりを改めて考えた。
大昔に木製の船でよく荒れた大西洋を渡ろうと思ったなと感心する。
興味深い美術館や博物館は世界中に沢山あって、そういうものだけ見て暮らしていけたらいいのになーなんてたまに思う。
グルベンキアンじゃないけれど、世界中のお金持ちはこういう事にお金を使って欲しい。
投資目的に芸術作品を集めるというよりは単純に今までの人間の叡智を集めたような、美術館や博物館。
今の時代に生きる人間としてこれまでの人間がしてきた事を知る事は大事だと思う。