『店長がバカすぎて』- 書店員の悲喜交々が織りなす、笑いと涙の痛快小説!
本屋の裏側を赤裸々に描いた、新感覚の連作短編集
早見和真先生の『店長がバカすぎて』は、書店員の谷原京子を主人公とした全6話の連作短編集です。本屋の裏側を赤裸々に描いた、まさに新感覚のストーリーが展開されます。主人公の谷原京子は28歳、吉祥寺にある小さな書店で契約社員として働いています。仕事は超多忙なのに給料は薄給、お客様からのクレームは日常茶飯事、そして店長の山本猛は名前ばかり勇ましい「非」敏腕者。そんな過酷な環境の中で奮闘する谷原の姿が、まるで読者も一緒に書店で働いているかのように生き生きと描かれています。
本屋ならではの魅力が詰まった、読書家必読の書店員バイブル
しかし、本書は単なる谷原の鬱憤晴らしの内容ではありません。むしろ、本と書店員に対する限りない愛が、ページの隅々から溢れ出てくるのです。インクの香り、平積みされた活字、ひっそりと手に取られるのを待つ本の数々。本に囲まれた、まさに愛すべき空間が、リアルに再現されています。また、「人間の思惑は他人からは推し量れない」という深遠なメッセージ性や、「今、なぜ私はこの職業に就いているのか?」といった哲学的な思索も、所々に散りばめられています。読書家なら誰もが一度は憧れる"書店員"の世界を、存分に味わえる一冊と言えるでしょう。
笑いあり、涙あり、怒りありの展開に、思わずページがめくれる!
本書の魅力は、ただ面白いだけではありません。谷原と店長との複雑な感情のもつれ、同僚との微妙な関係性、厄介な常連客への対応など、リアルな書店員の日常が赤裸々に描かれているのです。時には吹き出すほどの笑いあり、時には思わず涙を誘われる切ない場面あり、そして時には憤慨せずにはいられない理不尽な展開あり。まさに、感情移入せずにはいられない展開の連続です。特に印象的なのは、クレーマー客への対応シーン。"能天気なバカ"である店長の"底抜けのバカさ加減"が、皮肉にも窮地に立たされた谷原を救うという、巧妙な筆致には思わずニヤリとしてしまうこと間違いなしです。
ミステリアスな伏線も織り込まれた、衝撃の結末とは?
更に本書は、ミステリ的な要素も随所に盛り込まれています。常連客の藤井が、実は谷原が子供の頃に憧れていたカリスマ書店員だったことが明かされたり、その藤井が大作家の"ゲラ読み"に谷原を指名したりと、物語が大きく動き出します。そして、最後に待ち受けているのは、読者の予想を大きく裏切る衝撃の展開。本作が、実は谷原をモデルにした覆面作家によるメタ小説だったというどんでん返しには、思わず目を疑ってしまうことでしょう。しかし、このサプライズな結末こそが、本作の奥深さを物語っているのかもしれません。
本を愛するすべての人に、自信を持っておすすめできる現代文学の傑作
早見和真先生の『店長がバカすぎて』は、本と書店員への愛に溢れた、稀に見る現代文学の傑作です。主人公・谷原の等身大の奮闘ぶりに、読者は思わず彼女を応援したくなること間違いなし。本屋の裏側を覗き見るような、新鮮な体験と予測不能な展開の数々。そして、どこか温かみのある登場人物たちが織りなす、笑いと涙の物語。本を愛するすべての人に、自信を持っておすすめできる一冊です。
是非とも、本書を手に取ってみてください。そこには、今まで味わったことのない、心躍る読書体験があなたを待っています!
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