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広く浅いくらいがちょうどいい


わたしは昔から、わりと社交的な方だと自覚している。

はじめましての方にも人見知りしたり物怖じせず自分から話題を振って話せるし、
編集者の仕事をしてるときは職場の人からよく
「mimiさんは明るいし場をまわしてくれるから、いてくれると助かる」
なんて言われていた。


そんな性格なので飲み会の幹事を任されることがとても多かったし
自分で言ってしまうけど、わたしの周りには人がよく集まった。


だけどそんな自分とは裏腹に、すごく内向的な自分もいる。



人のことは好きだし、仲良くしたい気持ちもあるけれど
わたしは正直なところ、
飲み会を開きたいわけでも
みんなでカラオケに行きたいわけでもないのだ。

むしろたくさんの人がいる場は気を遣って、話題を振って、盛り上げて…と、気が張って疲れてしまうので
一人がすごく好きだったりする。


一人で読書したり、散歩に行くなんて最高だ。



だけどわたしの『おもて面』しか知らない人に
「読書をする」なんて言うと
「意外!」とか「本なんて読むんだ?!」と驚かれ
「一人が好き」と言うと
「またまたぁ〜」なんて反応が返ってくるから
自分はつくづく二面性があるんだなあと感じる。


どちらも本当の自分。
だけどまったく違う自分。



そんな自分だからか、人との距離感に困ることがある。


たとえば初対面のときに話が弾んで、
その流れで
「ねえ、今度飲み行こうよ!」とか
「飲み会企画してよ!」
なんて言われたときには困ってしまう。



人が好きだし、会話も好き。
だけどべつに飲みに行きたいわけではないので
『えっ、べつに飲みたくないんですけど…!』
と思ってしまうが、もちろんそんなことは言えない。


しかもわたしはお酒が弱くて全然飲めないので
「お酒飲めないんですよ〜」
って言いたいところだけど
そう言ってしまうと
『なんだ、つまらないやつ』
って思われそうでこれも言えない。
せっかく距離が縮んだ気がするのに、がっかりさせてしまいそうで言えないのだ。

だから
「いいですね!行きましょう行きましょう〜」
なんてテンションを合わせるが
本当に申し訳ないけれど、こんなのは社交辞令である。

他にも職場からの帰り道に
「一緒に帰ろうよ!」なんて言われたり

お昼休憩が重なったときに
「ランチ行こうよ!」なんて言われるのも困る。


『え〜まじですか。のんびり一人で帰りたかったな〜』と思いつつ、
そんなこと言えるわけもないので
なんとか会話をひねり出して沈黙にならないようにしゃべる。


こんなとき、生粋の陽キャなら無理しなくても素のテンションで話せるんだろうな〜と思いながら。


わたしは社交的にも内向的にもなりきれない
中途半端なタイプの人間なのだ。




人や会話は好きだし楽しみたい。
だけど終業後や自分の時間を割いてまで
遊びに行きたいわけではないし
連絡を取り合いたいわけでも
深い関係になりたいわけでもない。




たまたま顔を合わせたときに少し立ち話して
それじゃあ。
そのくらいがちょうどよかったりする。
お互いに気持ちよく会話できるくらいの距離感。
それ以上は求めない。



冷たい人間と思われるかもしれないけれど
飲みに誘ったり、ぐいぐい距離を詰めるのが
やさしさとも思わない。
深く関わらないことや踏み込まないことも
それはそれで、やさしさなんじゃないかなあと思ったりする。



完璧な人なんていないし
わたしも完璧ではないとわかってる。
だからこそ、お互いが嫌にならない程度に
深く関わりすぎず、踏み込みすぎず、気遣い合いながら
ほどよい距離感で付き合っていきたい。


寂しい人だと思われるかもしれないけれど
友達は多くなくていいし、
そんなに深いことまで話せなくていい。
お互いについてぜんぶを知ってなくていいし
知らないことがあってもいい。



顔を合わせたら他愛もないことを話して
お互いにいい人でいられるくらいの距離感が心地いい。



わたしには、人間関係は広く浅いくらいがちょうどいいのかもしれない。





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