知ることを、手伝ってほしい(時に…):『聲の形』を伝えるための「入り口」まで
なにを語るにしても、今の時代は誰かしら先人がいるものである(※1)。だから、知りたいと思う対象について、わかり易い見取り図を示してくれるのが誰かを知っていると、思索への手引きとなる。たいてい、知りたかったことから、さらに掘り下げられると同時に、周辺にどういった事柄があるのかについても明るくなるものである。
映画『聲の形』について考えを巡らすにあたって思い浮かんだ案内人は、二人のイシカワジュンだった。マンガ家のいしかわじゅんは、おもしろいマンガに、いつもその面白さがわかるように物差しを添えてくれる(※2)。彼の、同じ漫画家に対する姿勢、とりわけ彼がその面白さを広めたいという気持ちを抱いている作家に対するそれは、とても真摯であたたかい。
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