別居
幼稚園の頃。親と別居している。
時代は高度成長期。日本で初の冬季五輪が開催され、新しい建物があちこちに建てられた。まさにそんな頃。父親が以前から所有していた土地に一戸建てを建設した。
問題となるのは幼稚園に通っていた私。
母親が仕事に従事していたことから、日中面倒を見る大人が不在。幼稚園と新居は同じ市内とはいえ車で一時間はかかる。しかも公共交通機関は路線バスのみ。便数も限られている。母親は運転免許がない。
祖父母宅に預けることしか選択肢がなかった。
毎日朝晩には会えた母親と二日に一度しか会えなくなった。新居と祖父母宅を日替わりで帰宅していたのだから、母親も大変だったことだろう。
幼稚園児といえば甘えたい盛り。寂しくなかったといえば嘘になる。
大人の指示に従ういわゆる「いい子」を演じるようになったのもこの頃からかもしれない。
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