〔ファッション産業〕で服をつくることについて 前編 #5
こんにちは!読んでいただきありがとうございます!
レディスオーダーメイドファッションブランド TROIS F(トロワエフ)の 運営 mimasです。
今回は、私の約30年のアパレル業界での業務経験から、ファッション産業とサスティナビリティについて感じていること、TROIS Fのもうひとつのコンセプトについてお話したいと思います。
ファッション産業は廃棄物産業?
環境問題について少しでも知見があれば、SDGs、サスティナブルファッションについて、ここ数年声高に言われていることに気づかれている方も多いと思います。
何気なくお店で購入する服に、どれくらいの資源、素材、エネルギーが使われているか? 仕事として繊維業界に長年関わってきた私自身も具体的に考えたことは今までほぼありませんでした。
アパレルブランドの服の企画生産、業界でいうところの川中のポジションに長年関わっていましたが、いわゆる川下(お客さまに直接販売することにかかわる業務)の状況は、たまにお会いする営業さんや、バイヤーさん、デザイナーさんから今あの型が売れているとか、この型は完売したとかを聞くくらいで、はっきりとは見えない部分でした。
大手企業からお仕事をいただいているポジションですと、たまに社内セールやファミリーセールのご招待券をいただき、そのセール会場でよく服を買っておりました。
セール会場に行ってお買い物するたびにいつも思っていたことは、毎シーズンこんなにもたくさんの服がプロパー(定価)ではなく、セールとして売られていること、シーズンも終わり時期なのにこんなに在庫があるんだ!という驚き、そして全部売り切れない場合、作った服はどうなっちゃうんだろうという疑問。
そして私は破棄されるような服をつくるために仕事をしているのか?というものづくりに携わるひととしては考えたくないような現実について毎回突きつけられたような気がしておりました。
ファッション産業の未来について 漠然とした不安感
大手企業からお仕事をいただいていた立場であり、またキャリアの半ばで出産、育児を経験し、家庭を仕事の両立でかなりいっぱいいっぱいだったため、正直回ってきた業務をなんとかこなし、関わった商品を無事先方に納品することについてのみ考えて日々仕事をしていたので、薄々と感じていた違和感はずっと頭の片隅にあるけど、考える暇もなく月日が経っているという状況でした。
近年、社会や企業におけるSDGsの概念を取り入れた取り組みや新規プロジェクトが広がっていくことを知るにつれ、漠然と感じていたことが、社会問題として捉えられているということを感じるようになりました。
自分が関わっている仕事が、環境負荷になっているかも?子育てをしている親としても、これからの未来を担うこどもたちにとって、直接的でなかったとしてもマイナスになるような仕事、皆が必要としないものづくりをしているのではないか?長年身を置いてきた繊維業界はこのままで大丈夫なのか?などなど、ずっと感じていた違和感がはっきりとした問いとなって頭に浮かぶようになりました。
(ほんとに業界の片隅で細々生きてきた人間が、業界の行く末を心配しても何の影響もないのになと自虐しながらも(笑))
私自身はそれほど意識の高い生き方をしているわけではなく、ごく普通の社会人、こどもを持つ職業人としてとりあえずは日々の糧を得るためにこの業界で働いて日々生きてきたのですが、あるきっかけでフリーランスになり、また自身の環境も変わり、お世話になってきたこの業界において、自分ができる範囲で、未来に対して責任の持てる仕事のやり方を日々考えるようになりました。
衣食住としての服、ファッションとしての服
人間は社会的な生き物なので、社会生活の中で服を着ないで生きていくことは不可能です。その意味で服は必要不可欠なものでありますが、同時に服は一番人間に近い、着ることによってその人の視覚的な表現ができるひとつの文化、すなわちファッションというひとつのカルチャーとしても成り立っております。(こんなことはいまさら説明するまでもないですが)
その意味で、文化として常に新しいものを生み出すための資材、エネルギー消費はどこまで許されるのか、生活消費財として最低限の衣服で賄い、できるかぎり無駄なエネルギー消費を押え、無味乾燥な服を着ることが崇高なことなのか?
アパレル企業としては売上が取れなければ成り立たない、新しいものも生み出せない、そして企業の仕事ありきで成り立っている産業も多々あるので、すべてではなくとも、売れずに破棄される服をつくることに関わっているということが悪いとか無駄というわけではないのですが、逆に小規模で仕事をしてきた私たちだからこそ、別のやり方で問題提起することもできるのではないかと思い立ったのです。
なんだか長くなりそうなので、次回に続きます!
またお付き合いいただければ幸いです!!
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