周回遅れの走者。まちづくりの"手垢感"
数年前に、『圏外編集者』/都築響一を読んだ。タイトルみて、本屋で立ち読みし、迷わず購入した。
何年経っても、心に残っているのは、著者が海外の地下鉄で体験したエピソードだ。
見るからに手製の本のようなものを、手売りしていた。
それをみて、出版社を介して本屋に並ぶ本よりも、どうしても伝えたい事や、意味、気持ちが込められているように感じたといったエピソードがあった。
今で言う、同人誌やZINEのようなものだろう。そのなんとも言えない感情に、心くすぐられる。
まちづくりもそう、わざわざそれをやってる人に気づいた瞬間にとても愛着や、親しみ、人間味を感じるんだと思う。
2023年1月7日(土)の河北新報朝刊に、NPO法人底上げの理事長である、矢部寬明さんの記事「つくり出す喜び 東北に」が掲載されており、スクラップブックに綴じ込んだ。
その一文がこちら。
都築響一さん、矢野さんが言わんとしたこと。
私はそれを、まちづくりの手垢感と呼んでいる。
ツルんとしたキレイなものではなく、誰かの気配が感じられる手垢感に、親しみを覚えることがある。
そんなふうに街中を、ほんの一角から手垢感で満たしていきたい。