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#それでもスポーツで生きていく・#13
~各論【第1章】
スポーツの『存在目的』に耳を傾ける旅
岐阜編
こんにちは、スポーツエッセイスト・岡田浩志です。
この週末からスポーツ現場に赴く旅を始めています。2ヶ所目の訪問は、猛暑厳しい岐阜。
僕個人的には2009年から、2012年の春までスタッフとしてお世話になっていたFC岐阜。
この日はアビスパ福岡との対戦でした。
街の一大イベントに成長したホームゲーム
JR岐阜駅に到着したのは、試合開始の約1時間半前。駅前のバスロータリーから、長良川競技場へ向かうバスは、すでに立垂の余地もないほどの混雑ぶり。
他に何かイベントでもあるのかな、と思いつつ、乗っていた乗客の95%は、同じ競技場前のバス停で降車しました。つまり、この試合自体が一大イベントなのです。
試合1時間前のイベント広場の様子です。立ち並ぶ飲食テント前にも大勢お客さんの姿がありますが、ステージトラック前に黒山の人だかりが。
なんと、僕が到着する2時間以上も前から、ステージイベントをやっているのです。
地元ケーブルテレビの協力もあり、クラブのマスコットやダンスチーム、クラブアンバサダーなど、持てる資源をフルに活用し来場者をおもてなししています。
岐阜に来たら絶対に外せない屋台村
Jリーグの世界では、既にお馴染みなFC岐阜の屋台村。僕個人的に、この3つは外せない、と思っているのが、岐阜グランドホテルのビーフカレー、ひだコロッケ本舗のコロッケ、そして飛騨牛のこもりの飛騨牛串。
柔らかくてとても美味しい飛騨牛串焼き(450円)と、僕の好きな一番搾り(600円)で1,050円。納得の買い物ですが、それとともにもう1枚整理券を渡されました。
この夏行われているグルメ企画で、ソーセージ串が1本プレゼント、とのこと。頂けるものならと長蛇の列に入ります。
煙がモクモク出るキッチンカーから頂けたのが、こちらの森本工房のFC岐阜ソーセージ。
きちんと腸詰めされた繊細な歯応えの手作りソーセージに、舌鼓を打って大満足。
定番が3つあるだけでも充分凄いのに、新定番にラインナップされていそうな美味しさのソーセージでした。調べるとどうやら、県内揖斐川町で評判のお店のようです。
このグルメ企画を通じて得られる体験は、サッカークラブの事業からは一番遠いところにはありますが、顧客満足度的にはとても重要に思えます。
小さなことですが、組織末端からのイノベーションを感じさせる良企画と感じさせます。
『存在目的』に耳を傾ける旅
・3つのエッセンス
1. ミッション・ステートメントを持たない
( 対話から存在目的は進化する )
2. イノベーションは常に組織の末端で起こる
( 変化を必要と感じている人が起点となる )
3. 正しいチャンスは外部からの働きかけ
( 自分の使命に従うこと、明確にすること )
FC岐阜のミッション
FC岐阜のミッションは、昔から一貫して『子どもたちに夢を!!』ですが、2017年から新たに『感動を共に!!』というステートメントを加えています。
https://www.fc-gifu.com/club/about/
特に「オール岐阜」という点は徹底されていて、富山県境に近い飛騨地区も含め、県内全市町村へ普及活動に動いています。
地域貢献活動に本格化しだした2009年頃から、今に至るまで、年間で500回以上の地域貢献活動に取り組んでいるクラブです。
なかなかチーム強化のほうは苦労していて、毎年のようにJ3降格戦線に顔を出してしまう苦しさはありますが、ファンも成績以上の部分でクラブと繋がっている、そんな印象が強いクラブです。
僕が見たこの試合、北野誠監督が率い出してから、主力2選手が移籍で抜け、まだ成熟高まる前の印象が強く、対戦前リーグ18位の福岡相手に、0ー2で敗れて最下位(22位)のまま。
それでも、この日の入場者数は7,674人。その時点でのリーグ平均6,757人より上回る数字が出ています。
ミッションを招待事業で具現化するFC岐阜
ミッションに関連して着目したいのが、実は招待事業です。『子どもたちに夢を!!』という理念に呼応して『夢パス』という県内小学生をご招待する事業をFC岐阜では長らくやってきています。
( 2013年までは『KID'S DREAM PROJECT』という名称で同様の事業を実施しています。 )
2018年からは未就学児向けの『夢パスひよこ』というカテゴリーも登場しました。
そして2017年からミッション・ステートメントに加わった『感動を共に!!』に関連して「感動を共にチケット(ともチケ)」という市町村招待事業の仕組みも作っています。
招待事業自体の意義について、チケットの有料比率も鑑み、議論する必要はあるでしょうが、クラブミッションに呼応してサービス体系を作ろう、という意思は明確に感じます。
変わらないという価値、進化する価値
岐阜にいけば、いつも変わらぬ味でおもてなししてくれる屋台村の皆さまのごとく、進化ばかりに目をとられず、守るべきものの重要性も感じさせてくれるのが、FC岐阜の取り組みです。
どんな厳しい状況でも支え続ける強さ、その真価が問われるシーズンに今年はなるのではないでしょうか。目が離せない戦いはまだまだ続きます。
僕も今回の久々の訪問を機に、再び気にかけていこうと思います。
スポーツエッセイスト
岡田浩志
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