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様々な種類のとろみを活用し、一人ひとりに合ったとろみのつけ方を見つけよう!

とろみと「飲み込みやすさ」 ~調整食品の活用~

介護現場でも飲み物にとろみをつける際に使用している「とろみ調整食品」
普段、何気なく使っているかもしれませんが、商品によって特徴が様々で使い方も異なることを知ってますか?
これらを使いこなすと、嚥下機能が低下した高齢者でも飲み込みやすくなり、食事の幅も広がるので、ぜひ使い方をマスターしてください。

とろみ


とろみ調整食品とは?

高齢になると、嚥下機能の低下によりのどに素早く流れる液体をうまく飲み込めなかったり、口の中でばらけやすい食品を舌でうまくまとめられなかったりと、食べづらさ・飲み込みづらさを感じることが多くなります。

そこで役に立つのが、とろみ調整食品。飲み物や食べ物に加えることで適度なとろみをつけ、飲み込みやすくすることができる食品で、無味無臭に近く粉末のものが一般的です。

使い方は比較的簡単で、商品の表示に従い適量を飲み物や汁物に混ぜたり、料理をミキサーにかける際に一緒に入れたりするだけのものがほとんど。味には大きく影響せず、簡単に形態調整できる優れものです。

「とろみ調整食品」と一口に言っても、液体に少しとろみをつけるものから、ペースト状のものをプリン状に近い硬さまで調整できるものまでさまざまな種類があります。また、冷たいものにも温かいものにも使えるものもあれば、1度加熱が必要なものや混ぜた後に数分置いておくことでとろみがつくものなど商品によって違いがあり、また、同じ量を使用してもとろみの付き具合や食感が微妙に異なるので、好みや用途に合わせて使い分けることが大切です。


料理にも「とろみ調整食品」がおすすめ

家庭で食べやすさ・飲み込みやすさを考慮した料理を作る際、料理にとろみをつけると言えばまず片栗粉を思い浮かべると思います。しかし、片栗粉のとろみは、時間がたつと硬さが変わってしまったり、また、食べているうちに料理に唾液が混ざり唾液中のアミラーゼによりとろみがなくなってしまったりと、なかなか安定しないという弱点もあります。

そこで、料理にも幅広く使えるのが「とろみ調整食品」。
飲み物や汁物のとろみをつけるだけではなく、ミキサー食やペースト食と言われる「形のない状態にした料理」の分離防止にも役に立ちます。ほどよくとろみがつき、スプーンでもすくいやすく、また、口の中でもまとまるため、飲み込みやすく誤嚥の防止にもなります。

実際、病院や高齢者施設の高齢者向けの食事の調理にも、安定したとろみや食形態を維持できる「とろみ調整食品」が使われています。さらに、脳卒中などにより一時的に摂食嚥下機能が低下した患者向けの「嚥下調整食」にも「とろみ調整食品」が使用されており、医療・介護現場での食形態の調整には欠かせないものとなっています。


「とろみ」と「飲み込みやすさ」

「とろみ調整食品」は、飲み込みやすい形態に調整するものですが、「飲み込みやすさ」との関係について、もう1歩踏み込んでみましょう。
摂食嚥下に適した食品の指標として、「硬さ」とあわせて、くっつきにくくないかを評価する「付着性」と、ばらけにくくまとまりやすいかを評価する「凝集性」が重要になってきます。

嚥下機能が低下すると、口腔内に付着しやすい食品やばらけやすく食塊形成しにくい食品は誤嚥のリスクが高まります。そのため、「とろみ調整食品」は、この「付着性」が低く「凝集性」が高くなるようにも配慮されており、飲み物や料理に混ぜてもその特性が維持されるように工夫されています。


とろみの濃度の目安

とろみをつける際に、「どの程度の濃度にしたらよいのだろう?」と迷うこともあると思います。とろみの濃度と飲み込みやすさは、個人差があるため、医師や歯科医師、言語聴覚士の指導のもと、濃度の違うものを飲んだり食べたりする様子を観察して、1人ひとりに合わせて調整することも大切です。また、食事の形態調整は管理栄養士にも相談すると良いでしょう。

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(日本介護食品協議会)

「とろみ調整食品」の選び方や一人ひとりにあったとろみのつけ方を工夫することで、誤嚥のリスクを減らし食事量アップにもつながります。楽しく安全に食事ができるよう、それぞれの商品の特徴を理解し、ぜひ支援に役立ててください。

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岩上珠生(いわかみたまお)
管理栄養士

大学医学部附属病院、国立健康・栄養研究所にて生活習慣病の基礎研究、大学院時間栄養学研究室にて臨床研究に従事。その後、国立病院や国家公務員を経て、管理栄養士の教育に携わる。

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