みんなが応援してくれて がんばれた
11月11日(月)
朝、目が覚める。寝坊した。
親切な小人さんがそっと目覚まし時計を止めてくれたようだ。「みるみる、もっとおやすみ。」と。
むくりと起き上がる。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。
ウーちゃんとルーちゃんの水槽の水を換える。
食事の支度をする。
冷凍しておいた、こもれびの森で拾った栗で栗ご飯を炊く。これが夢中で拾った最後の栗。
午後、お買い物に行く。
帰ってくると、ハガキが何枚か届いていた。
そのうちの 1枚が友人Rさんからだった。展覧会場で購入されたであろうハガキに感想が書かれていた。
Rさんからのこういうお便りは臨場感があり、観覧をお裾分けしてもらったような楽しいきもちになる。
修一郎の食事をお弁当仕立てにしておく。
シエンタの塗装の前に足つけ作業をする。
足つけとは、ペンキをしっかり定着させるために車体をゴシゴシ擦って表面を荒らす作業だということ。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ふぅ。
お散歩でときどき出会う年配の女性が通りかかった。手を止めておしゃべり。
「今年の夏は暑かった〜。私、この夏を生き抜いて えらい!って思ったよ〜。」と、その女性が笑った。
「うんうん、ほんとそうですね〜。」と言っていっしょに笑う。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ふぅ。
お散歩でときどき出会う女性が通りかかった。最初はうつむきがちで会釈をされるだけだったが、いまは笑顔でおしゃべりをしてくれる。クローバー畑のおかげなのだ。
「オレンジ色の車無いなぁって思ってたら…。」と、女性。
「雨漏りしていたから乗るのやめたんです。この車、お隣の ごはんさんがくれたんです。それで、色塗り変えようと思って。」と、私。
「エェッ!車って自分で塗れるんですか!?」すごく驚いている。
「初めてトライするんです。」と言って、ふたりで笑う。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ふぅ。
あれ?ボンネットとその下(バンパーっていうのかな?)の材質がちがう気がする。気のせいかな?コンコンと軽くノックしてみる。音がちがう。
鉄以外の場所には、塗装する前に非鉄バインダーαというものを塗らなくてはいけない。
そこへ、にりんさんとアランくんがやってきた。
「にりんさん、ここって鉄じゃないんですか?プラスチックですか?」と、聞いてみる。
「うーん、あぁ、ちがうと思うよ。プラスチックというか…鉄ではないよ。後ろもね。」にりんさんが言った。なるほど。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ふぅ。
お向かいの Iさんが帰ってきた。
「わぁ、車塗ってるんやね〜。すごいすごい、がんばるね!」と、Iさん。手を止めておしゃべりをする。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ふぅ。
あとは屋根だけだ。
あ。ごはんさんに台を借りるのを忘れていた。
ふと、3段の踏み台があったことを思い出す。仕事部屋の壁を塗るときに使ったのだ。
それを持ってきて3段目に乗り、屋根もゴシゴシする。
もう屋根の上に乗っかってゴシゴシしようかな。と、思う。でも降りるとき落っこちそうだ。手を伸ばしてゴシゴシする。
にりんさんとアランくんがお散歩から帰ってきた。
「おかえりなさ〜い。」と、踏み台の上からあいさつをする。
「ただいま。すごい。がんばっとう。」にりんさんが目をまるくして言った。
「ゴシゴシしてます。」と、私。
「うん。ゴシゴシしてるね。」笑いながら にりんさんとアランくんは帰って行った。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ふぅ。
山の音楽家の曲が流れてきた。いつ聴いてもウキウキする曲だ。夕方の5時になったんだ。
バナナさんが通りかかる。
「がんばりよんね〜!」と言って手を振ってくれた。私も手を振る。
通りかかる みんなが応援してくれているようなきもちになって、がんばれた。ありがとう。
完了した。車体ぜんぶ足つけした。やった。できた。やればできる。
次の作業はワックスオフだ。油分や足つけで削れた粉をフキフキするのだ。明日しよう。
お散歩に行く。
うす紫色と橙色の空がとても美しかった。うっとり眺めながら歩く。その空に一番星が煌めいている。素敵で胸がふるえる。
てくてく歩いて家に帰り着く。
11月なのだけど、汗びっしょりになった。
久しぶりに足首に大きな内出血をしていたみたいだ。気がつかなかった。もう何日も経った色をしている。
食べ物のアレルギー症状として内出血するので、打撲で内出血するときみたいに痛みがない。なので気づかないことがある。
痛いのはイヤだけれど、痛みというのは大切な役割を果たしているんだなぁと改めて思う。
夜、庭に出る。
ふっくらとした横顔のお月さまが上品に輝いている。ぴかぴか輝くお米みたいだ。そのそばには小さな小さな星が煌めいていた。可愛い。お月さまと寄り添う星に手を振る。
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
これから眠くなるまで絵本の作画をしよう。
今日もいい一日だった。
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