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みかんどっさり

12月13日(金)
朝、目が覚める。
久しぶりに鳩の声が聞こえる。
ぽろっぽー、ぽろっぽー。

なんてまろやかな声。うっとり。
おふとんの中で鳩の声を聞けるなんて幸せだ。
むくりと起きあがる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう!」と あいさつをする。

ウーちゃんが、空気が出てくる
ぶくぶくホースにまたがって
すっくと立っている。

微動だにしない。
ホースから泡が ぶくぶく上っている。
全身マッサージみたいなのかな。
きもちよさそう。

ウーちゃんとルーちゃんの水槽の水を換える。

フレンチトーストを作る。

絵本の作画をしていると電話が鳴った。
印刷会社のNさんだった。

ちょっと早めのご挨拶と、来年のカレンダーを
持ってきてくれるということ。

瞬報社写真印刷さんの印刷はとてもきれい。
毎年絵本の印刷をお願いしている。

山口県に本社があるので
毎年いただくカレンダーには萩焼の写真が
大きく美しく印刷されている。

ほどなくしてNさんがやってきた。
熱いコーヒーを淹れる。

コーヒーの泡が虹色になるのが大好き。
うっとりと眺める。

ブルーグレーの上野焼のマグカップに注ぐ。

「いいマグカップですね。」
と、Nさんが言った。

少しお話をする。そして、

「良いお年を。」
と言って帰られた。

食事の支度をする。

エフコープさんがやってくる。

グリーンコープさんの元気カーに
てくてく歩いてゆく。

メガネさんが手を振っている。
いつもと何かがちがう。
なんだろう。

いつもつけていたマスクを外している。
耳を隠すようにヘアバンドみたいなものを
している。

「これ巻いていると、おでこに汗かくんですよ。
 暑い。おでこだけ。」
メガネさんが言って、ヘアバンドを外した。

確かに おでこが光っている。
マスクを外しているメガネさんは
誰かに似ている。

思い出した。
ゴマフアザラシさんにそっくりだ。

ミルクとヨーグルトと卵と
バナナをカゴに入れる。

メガネさんは毎週、野菜や果物などの
ミニ知識を教えてくれる。

今日のミニ知識は「島バナナ」についてだった。

私はバナナは青いのが好きだ。
でも、沖縄の島バナナは
黒くなってからが おいしいということ。
ふーん。

てくてく歩いて家に帰っていると
Iさんが出てきた。

「昨日、椎茸置いてくれてたの
 Iさんでしょ?ありがとう。」と、私。

「そうよ!何回も呼んだけど出られんかったから
 置いといたんよ。」
と、 Iさんが朗らかに笑った。

ごはんさんとお話をする。
明日の ”こもれびの森” 関連の
スケジュールを確認したり、書類を渡したり。

絵本の作画をする。

両親と電話で話していると、
ピンポーン。とチャイムが鳴った。

「は〜い!」と言いながら玄関へ行くと
Yさんが にこにこしながら立っていた。
両手にカゴいっぱいの みかんを抱えている。

「ちぎったばっかりたい。
 選んでないけん、ええのん食べて。
 食べれんのはジュースにしたらよかよ。」

そう言って、どさっと玄関に置いてくれた。
そして、

「カゴはいつでもええから。」
と言って、笑顔で帰っていった。

1個食べてみた。
あまずっぱくておいしかった。
食べすぎないように気をつけなくては。

修一郎の食事をお弁当仕立てにして
ふたつ作っておく。

お散歩に行く。
淡いブルーグレーの空に
まるくて白く輝く月が出ていた。
あまりにきれいで胸がふるえた。

佇んでじっとみつめる。
手を振ってみる。
すごくきれい。

すっかり葉っぱが落ちた
桜の枝の間から眺めてみる。
風情がある。

厚みのある灰色の雲がゆっくり泳いできた。
クジラにそっくりだった。

坂道を とことこ下っていると
空に、ハツカネズミの家族みたいな雲が
ぷかぷか並んでいた。すごく可愛い。

空を眺めるのって楽しいなぁ。

家に帰り着く。
絵本の作画をする。

夜、庭に出る。
白っぽくて厚みのある雲の合間に
小さな星がひとつ煌めいていた。
とても愛らしい。手を振る。

イルミネーションもとてもきれい。

夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

これから眠くなるまで作画をしよう。

今日もいい一日だった。

ぶくぶくぶくぶくぶく…
桜の枝の間から おつきさまを眺めてみたり

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