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ワイナリー訪問記「Tsukuba Vineyard(茨城県・つくば市)」感謝祭
2024年11月23日、茨城県・つくば市にある「Tsukuba Vineyard」の感謝祭にご招待いただき、短い期間のなかで再度伺わせていただきました。
天候にも恵まれ、総勢50人ほどのワインLoverが栗原の地に集まりました。
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前回の訪問記は以下からご覧ください。
本記事では、今年収穫されたぶどうで造られた新酒等のご紹介と、高橋オーナーの栗原エリアに対する熱い想いをお届けします。
Tsukuba Vineyardについて
「Tsukuba Vineyard」は、「つくばの地から『おいしい、新鮮な、そしてdaily(デイリー)なワイン』を提供すること」を目指し、2014年からワイン用ぶどうの栽培を始められました。
2019年12月には、農林水産省の6次産業化の「総合化事業計画」認定を受け、高品質なワイン生産と安定的な経営を目指し、2020年8月には「つくばワイン・フルーツ酒特区」の製造免許を取得されたワイナリーです。
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オーナー制度と体験ボランティア
この日、開催された感謝祭はどなたでも参加可能なイベントでしたが、参加者には「オーナー制度」の方と「体験ボランティア」の方もおられました。
興味深いこれらの制度についてご説明します。
「体験ボランティア」はぶどうの収穫時期のお手伝い、そして「オーナー制度」では収穫だけにとどまらず、醸造やボトリングなどワインの生産過程においてもお手伝いが可能となっています。
こうして、他のワイナリーでの収穫ボランティアと呼ばれる関わり方と比べて、さらに深くワインに携わることができることもまた「Tsukuba Vineyard」の魅力ではないかと思います。
こちらでの体験を機会に、別のエリアでぶどう栽培やワインの醸造に着手されている方も数名おられるとのことで、高橋オーナーが植えられた芽がどんどんと息吹をあげていることにうれしさを隠せませんでした。
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栗原エリアの現状
一方で「Tsukuba Vineyard」の位置する栗原エリアの状況は深刻です。
「芝畑」が多く、その多くが「耕作放棄地」の予備軍であると伺いました。それではまず「芝畑」の特徴についてみていきましょう。
芝畑とは・・・
主に雑草や芝生が管理された状態で生えている畑のこと
栄養素の高い土が表面を覆い、下に行けば行くほど栄養素が少なくなる
今まで明確な特徴について知らなかったのですが、今回の高橋オーナーからの説明を受けて、少しではありますが見識が深まりました。
それでは次に「耕作放棄地」についてです。
耕作放棄地とは・・・
農林業センサスで定義されている用語で、過去1年以上作物を栽培せず、今後数年間は栽培する予定がない土地のこと
つくば市に限らず、全国的に「耕作放棄地」が増え続けていることが問題視されています。
なぜなら、耕作が行われない地では、雑草や害虫が発生する可能性が高くなったり、廃棄物の不法投棄や、野生動物の行動圏になってしまう他、災害時の危険性も高くなったりするためです。
「芝畑」の状態から再び畑として機能させることの大切さがわかりました。
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そこで、高橋オーナーは土壌改良から取り組まれており、基本的には馬糞などを土壌に巻いてロータリをかけ、半年ほどおいてから、様々な品種の栽培を試みられています。微生物が増えないと良い畑にならず、馬糞は微生物を増やすことに最も効果的とのことでした。
なお、土壌によって育ちやすいぶどう、育ちにくいぶどうがもちろんあるよようで、ここ栗原の地では、バルベラやアルバリーニョは育ちにくい、とのことで、大変興味深いお話を伺うことができました。土壌の特質などから、その理由なども今後深ぼっていきたい、と個人的な課題も浮かび上がりました。
新規就農者への想い
また、高橋オーナーは、新規就農者にハードルを下げた形で入ってもらいたい、という気持ちを強く持たれています。
そのため、将来つくば市に移住・定住し、ぶどう栽培やワイン醸造に取り組みたい、という気持ちが強い方のために、すぐにぶどうを植えられる畑は意外と少ないことから、代わりに畑の管理をされることもあるとのことでした。
そのほか、周囲のぶどう畑に与える影響が大きく、風通しが悪くなっているような要因(木々がうっそうと生えているなど)の土地について、地権者の方と交渉し、ぶどうを植えないことを約束したうえで、管理をされているなど、多角的な面からアプローチをされておられ、敬意の念が絶えません。
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つくば市にワイン産地を作る
そんな高橋オーナーの将来的な展望は「つくば市にワイン産地を作る」というものです。
実際に「Tsukuba Vineyard」のワインをいただいてみると、その潜在性から、ワイン産地と呼ばれる日もそう遠くないと思わされますが、そのお気持ちの水面下では様々な並々ならぬ日々の努力が隠されているのだろうと、心を強く打たれました。
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感謝祭のワインテイスティング
では、ここからは、感謝祭でいただいたワインについてご紹介します。
最初にいただいたのは白ワイン
「2024 TSUKUBA SERIES KURIHARA 白」
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甲州・シャルドネ・モンドブリエのセパージュ。
この日も、奥様が腕によりをかけて作ってくださったお料理と最高のペアリングでした。
フレッシュな味わいで、どんなお料理にも合わせやすく、お刺身との相性も臭みが全く出ずにすばらしい相性で、ぜひたくさんの方にその唯一無二の味わいに触れていただきたいと思うワインのひとつです。
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次にいただいたのは、「2022 TSUKUBA SERIES KURIHARA(ヤマソーヴィニヨン)」
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贅沢にも、まだボトリングもされていない状態の出来立てほやほやのワインをいただきました(翌日無事にボトリングが完了したのこと)。
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ヤマソーヴィニョンをメインに、メルローやセイベル、富士の夢など、数種類のぶどうがセパージュされており、毎年異なる表情を見せるこのワインは「Tsukuba Vineyard」の顔のひとつです。
果実味たっぷりでチャーミングな味わいがなんとも魅力的でした。
そして、最後にいただいたのは、本日の真骨頂である「2024 TSUKUBA SERIES 小公子」
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小公子は日本に古くからある山ぶどうで、絶滅危惧種と言われているぶどうのひとつです。
島根県の「奥出雲ワイナリー」や、大分県にある「安心院ワイナリー」のワインが有名ですが、そのほかに山梨県や広島県などでも栽培・醸造がされています。
若干の微発砲さも感じる小公子は、栗原のテロワールに大変合っているであろうことが感じられる素晴らしい出来で、充実したエキス感のなかに少しアーシーな雰囲気もありながら、ぶどう本来のナチュラルな味わいを楽しむことができました。
今飲んでも十分おいしいですが、飲む数時間前に抜栓しておくとより香りと味わいが開くのではないか、専門家の方からアドバイスをいただきました。
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まとめ
2度目の訪問となった「Tsukuba Vineyard」は、初めて訪問した際の印象と変わることなく、あたたかい雰囲気で包まれた空間で、関わっているすべての方がこうした空気を生み出しているのだろうと思いました。
個人的には、今まで「かおりんさん」と呼んでくださっていた高橋オーナーが「かおりん」と呼んでくだったことがうれしかったです。
高橋オーナーの夢である「栗原の地をワイン産地に」という想いに、わたしも微力ながらお力添えができればと強く心に誓った今回の訪問となりました。
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Tsukuba Vineyard(つくばヴィンヤード)栗原醸造所
住所:〒305-0001 茨城県つくば市栗原2944‐1
アクセス:電車の場合 JRつくば駅から車で約15分
営業時間:11‐15時
定休日:なし
Webサイト:https://tsukuba-vineyard.sakura.ne.jp/blog/
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