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オンラインゲームの臨終に立ち会った話

私はファミコン時代からゲームを少しかじったけれど、それほどコアなゲーマーではない。RPGにおける私の戦い方は「THE・脳筋」である。ドラクエでは序盤の街で延々とスライムを殴り倒し、その街一番の武器防具を全員分揃えて、一気に行けるところまで進む、というようなことを繰り返している。(FF8は自分が強くなれば出てくるモンスターも強くなるシステムだったため、開始1時間で断念した。)あまりスマートでない進め方である上に、その戦闘方法もまさに「殴り倒す」である。呪文=回復しか使わず、ひたすら殴るだけの戦闘で、ボス戦でちょっと補助呪文を使う程度だ。また、目標の曖昧なゲームが苦手である。「どうぶつの森」のように何をしてもよいゲームは何をしたらいいのかわからなくなる。アクションゲームの話はするまでもない。私の最大の敵は1-1に出てくる最初のクリボーだ。
 
 そんなゲーム下手な私と息子がハマったゲームが「ドラゴンクエストライバルズエース」だった。トレーティングカードゲームをスマホで行うもので、ドラゴンクエストのキャラクターたちがモチーフになっている。ドラクエのロトシリーズ懐古厨の私にとっては眉唾物のゲームである。またちょうど「ダイの大冒険」を放送していたのも星野家のブームに拍車をかけることとなった。対象年齢12歳以上だが、私が横についていることで、息子も十分プレイできた。
 
 ポケモンカードゲームをやった時にも感じたが、息子は私よりもカードゲームが強い。ギリギリまで攻撃を受けながら盤面を整えて強力な技を一気に繰り出すことができるのだ。わたしはひたすら殴打するタイプなので後半に逆転されがちである。
 
 アプリを使ったカードゲームは息子にとってもダメージの計算を自動でやってくれることもあって使いやすかったようだ。最初は「相手HP8に対して3+3+1だから多分これで倒せる!・・・…あれ計算間違った!」というミスをしていたが慣れるにつれ計算ミスによる仕留めそこないもなくなって普通に私の助言なしでONLINE対戦相手に勝っていた。二人で対戦したり(私が負ける)、カードを集めたり、モンスターの名前を覚えたりして楽しんでいた。
 
 しかし、親子の楽しみは数カ月で終了することとなった。ゲーム自体がサービス終了を発表したからである。私は買い切りゲームしかほぼやったことがなかったため、サービスが終了に立ち会うのは初めてだ。そしてこれまでのnoteをお読みの方はご存じかもしれないが、私は存在が消えてしまうことへの恐怖が大きい。「なかったことにされて日常が回る」ことが怖いのだ。ゲーム内で集めたカードがどこにも残らないことに恐怖を感じた。(ただしアーカイブサイトはいずれ作られると発表されている)
 
 一方、字の読めない息子に「7月5日でゲームが終わる」ことを話したところ、息子の方がすんなりと受け入れているようだった。彼にとって終わることは次の何かが始まることなのだろう。彼にとっての喪失は、朝7:30~のアニメ枠、「トミカハイパーレスキュードライブヘッド」「シンカリオン」のあと、情報番組に代わってしまったことくらい。「リュウソウジャー」最終回のあとは「キラメイジャー」が始まったし、「キラメイジャー」の終了後は「ゼンカイジャー」が始まった。「ドラゴンクエストライバルズ」が終了してもきっとほかの楽しいゲームがみつかるかも、という気持ちだったのだと思う。
 
 最終日、私の予想に反して息子は泣いた。最後までクリアできなかったことに泣いた。スライムの王様(ゴールデンスライム?)のカードが手に入らなかったことに泣いた。泣いてもどうしようもなく、記録を取ることができないのがソシャゲ、課金型ゲームの怖さなのだと思い知った。
 
 これからは買い切り型のゲームの方が少ない時代になっていくのかもしれないし、何度もサービス終了に立ち会うことになるのかもしれない。この喪失感をどのようにやりすごせばいいのか考えあぐねているところだ。


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7月8日追記
日向日影くんの記事に上がっているこのデッキは、私が相談して息子用に汲んでもらったもの。息子は最後までこのデッキで遊んでいた。
https://note.com/hyuugahikage/n/n9d21dc496245

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