踊る大捜査線(連ドラ)を初めて見たらめちゃくちゃ面白かった ー後編ー
連ドラ版、完走しました!
前回の記事で5話までやったので、その続き+室井映画公開前(と言いつつなんやかんやで当日になってしまったが……)の今のうちに、存分にお気持ちを表明しておくのが今回の目的だ。
各話感想 6~11話(最終回)
当然ながら、ネタバレしかございません。まだ見てないあなたは、今なら無料配信もしてるから見てね。
6話「張り込み・彼女の愛と真実」
・コメディ系刑事ドラマだと割と定番になりつつある一日署長ネタ。シノラーだぁ!!!時代!!なっつかしー!
当時どういう層に人気あったかあまり知らないんだけど、おじさんにも結構人気あったの?
・テトリス!!たまごっち!!!
・テトリスに備品のテプラ貼ってあるの、社会の解像度高くて好き
・は?室井さん、近くに来たから会いたい?ヘリ!?!?!?思想が少女漫画のそれで笑ったwwwww
・セクハラってワードはこの頃からあったのか……
・すみれさん、ほんとに色気より食い気なのがブレなくて可愛い
・青島の営業マンとは?の話に神妙に「そうなのか…」て聞き入ってる室井さんカワイイ
・え……雪乃さん、麻薬取引の容疑者てマジ?私婦警さんになってからの雪乃さんしか知らないんだけど、どういうこと!?!?
・突然雪乃さんのこと煽りまくる青島くん、絶対何かの仕込みだろうな……とは思ってたけど公務執行妨害?そうくる?
そしてすかさず「誰か時間とってやれ」て言うチームワークやばない???
勉強中の真下くんに法律説明させるのも演出が上手い 痛快すぎて声出た
・からの青島くんの「君は本庁には渡さない」がかっこよすぎる。雪乃さん、何故惚れなかった……?
7話「タイムリミットは48時間」
・雪乃さんと真下くんの取り調べ牛歩戦術ワロタ すごろくしてるんじゃないよww
・室井さんのポジション、現場と上層部の板挟みがすぎて、アラサー超えとしては胃がキリキリなる
・室すみっぽいシーンきた〜 結構ありかもしんねえ……
・留置場でふたりで寝るすみれさんと雪乃さんのシスターフッド、エモ〜〜〜 お泊まり会の様子も教えて……?
・青島くんの潜入パート、面白すぎる。潜入技術が営業マンじゃなくて、公安とかスパイのそれなんですけど??
これ下手に本庁とかしかるべき機関に見出されたら、スキル高すぎて国破壊できるやつでは???しがない地方公務員でヨカッタ~!
・まあ平成の企業のセキュリティ、ガバガバすぎるんですけどね……今じゃこうはいかないよね…
てか宝石屋の営業ががオフィス内まで出入りできる文化、何?
・ふ〜ん、真下くんと雪乃さんのフラグは、このへんからなのね
・真下くんが警部の辞令突き出すの、ベタだけどかっこよ〜!!
・青島くん、ボロボロになりながらも犯人逮捕ってかっこよ…ってえ!?カーペット敷の室内に火の点いたタバコを!?!?正気か?????
きっと和久さんが画面外で消してるはず、きっとそう。
・正しいことやりたければ、偉くなれ。現代日本に生きる社会人への至言だね…
8話「さらば愛しき刑事」
・魚住係長のフィンランド語できる設定、7話でのアドリブらしいんだけど、即座に次の回でフィンランド妻の設定&ハーフの子供用意できる制作側の瞬発力がすげえ。仕事できる。
・科学捜査班、思ってたんと違う…キャラ濃いけどかませ感スゴ……
そっか、この頃まだ科捜研の女はこの世に存在していない……
・……タメ口?(小笠原貞宗感)
・ウワーッ 古代遺物初期のデジカメ!!!メモリ容量10枚ぐらいしかないやつ!!!
・科学捜査班のひとたち、なんでこんなオネエみたいな喋り方なの?集中できんて
・すみれさんと雪乃さんタメ口になってる!!!ワーイ!!!!
・また!室井さんが!板挟み!!
・おいおい、この青島くん、図らずもいい警官と悪い警官のシチュになってない?わざとだったらおっかねえわぁ
と思ってたらわざとかーーーー!青島恐ろしい子…
・なんかいまひとつスッキリしないオチだな…てっきり科捜研のガキどもがやらかしたところを華麗に和久さんが尻拭いするざまぁオチかと……(日曜劇場の見過ぎ)
・回を追うごとに、何故か室井さんをヨシヨシするマインドにさせられる……なぜ……?(親戚のおばさん目線)
・序盤から繰り返されてたタメ口ネタからの、最後は和久さんがタメ口にキレて〆 モチーフの反復いいですねえ
9話「湾岸署大パニック 刑事青島危機一髪」
・マスコミも湾岸署も、愛人のこと責めすぎじゃない!?今の時代だったら問答無用で「男がクズ」で終了でしょ……
愛人自身の性格が悪かったので、まだ少しだけ納得感あるけども
・マスコミが大勢で愛人の家24時間張り込んでるのえぐ……平成時代、人権がない
ほんで中継車のスタッフやたらと口悪いし、いかにもなマスゴミ描写〜!と思ってたらフジテレビです!て言ってくるの自虐が過ぎて吹いた
・三越の松花堂弁当、今だったら5000円以上するんやろな……
・すみれさんのギャル喋りいいww
・いかにも不審者っぽい阿部サダヲ……見た目はアレだけど妹思いのいい兄ちゃんやん……
・最後、阿部サダヲを立件しないのは今の感覚からするとおいおい……てなった しかも周りが青島くんに立件しないように誘導してるっぽい感じになっちゃってるし……このあたりの感覚は00年前後で変わってきた印象。
しかも青島くん本人は不服そうなの、ブラックオチすぎませんか??
・真下くん、今回マジで雪乃さんに勉強教えてるだけで一ミリも仕事してなくて草
・最後いい話ぽく締めといて、ラストでため息からの真顔に戻る青島のカット、なんだか……人生だな……
・みんな汚れたり怪我したりすると制服に着替えるのすき
10話「凶弾・雨に消えた刑事の涙」
・すみれさんがお見合い!!コナンの佐藤刑事お見合い回を思い出した。振袖……若……
・和久さんの元相棒、若くして殉職しちゃったって、PSYCHO-PASS思い出すね……たった三行の人生、切ないな
・モグラに取引持ち掛けられて、和久さんのために乗るかどうか悩んでる青島くん、めっちゃ後輩感増し増しで可愛い。きゅるっとしてる
・出たー!この場限りの真下くんクリスチャン設定ww
・雪乃さんて結局キャリア試験受けてないのか??中退とはいえUCLA出身なのに……
・どうでもいいけど東京テレポート駅のタクシー乗り場、国際展示場とほぼ同じやな
・真下くん、青島くんに殊勝なこと言ったり雪乃さんに告白一歩手前なこと言ったり、「最後の現場だから!」とか、死亡フラグ立てすぎ!!!!
・真下くんが撃たれるシーン、今となってはありきたりかもだけど……すっげえや……完全に視聴者を雪乃さんの目にシンクロさせるような作り……
ここから抑えた劇伴で明らかに空気が変わって、鳥肌立ちっぱなし
・しかし雪乃さん、前世で何かしたんかレベルで不幸に遭いすぎ お守りなんていいから今すぐお祓い行け
・拳銃携帯シーンもめっちゃPSYCHO-PASSっぽい
・雨の中銃弾を探すシーン、台詞は最小限で無線だけで状況説明するのうまいな
・あの課長が雨の中現場出てるー!もうそれだけでうう……てなる。こう言う時、スリーアミーゴスの中で課長だけおいしい役割になりがちなの草
・すみれさん、泣きじゃくる後輩の背中をバシッと叩いて喝を……ってえ!?頬いっちゃうの???
・室井さん、基本的にこの人はコトが怒ってから現場入りする役割で、いつも間に合わないんよな……辛……
11話「青島刑事よ永遠に」
・冒頭の雪乃さんのあらすじシーン、思ってた10倍綾波レイだしエヴァ旧劇だった
・真下父、思いの外まともそう ただ息子のためにコネは容赦なく使うので、息子にだけはげろ甘なんだろうな〜〜 いいお父さん^^
・真下くん、国家公務員が本名と職場明かしてサイト運営とかどこのホラーだよ。今じゃありえないな……
・日本の警察官は撃たれても撃っちゃいけない
MIU404の1話を思い出すわぁ
・室井さん、決して冷静沈着タイプではなく、割と右京さんタイプというか……出力の仕方がほんの少しおかしいだけで、中身は熱い奴だよな……
・室井さん、後方のドア開けたの断って助手席に座るのエモすぎる。こういう行動だけで見せる演出だいすき
・スリーアミーゴスの啖呵、マジでサイコ〜!!かっこよさが長続きしないのも含めて。すぐ辞表引っ込めんなや
・地味にシリーズ通して室井と青島ふたりでクエストこなしてるのってこの回だけだよね??熱い!!!
・ニセ電話のシーン、室井さんにアドリブは鬼門すぎるwwwwwかわいそうwwwww
参観日に作文を読み上げる我が子を見つめるお母さんの気持ちになった
・犯人の手掛かり掴むために拘置所に会いに行くのが2話の爆弾事件の犯人!踊るシリーズってキャラの使い回し(言い方)上手いよね
・そういえば室井さんは秋田出身だけど、青島くんは23区出身のバリバリの都会っ子なんだよね……エモ……
・室井さんのキャバレーを警視庁で買い取る発言、アニメによく居る、世間知らずで金銭感覚バグってるお嬢様っぽくてオモロ
・青島と室井の喫煙シーンエモエモのエモ 禁煙社会になっても、フィクションでのこういうシーンはなくさないでほしい……
・昔切り抜き動画で見た、一斉に全員が銃突きつけるシーンここか!かっこよー!
・査問委員会で痴話喧嘩するんじゃないよwwwwそら偉い人もやめろて言いたくなるよ
・映画シリーズで散々見た宝塚階段(真矢みきがピンヒールで降りてくるアレ)だ!!!
・青島くん、交番の制服めっちゃ似合う
・お守りおばあちゃん!これが噂の副総監のオカンか
・最終回仕様のEDめっちゃいいな 最後何かから逃げてたのってこういうオチかw
総括
とにかくめちゃめちゃ面白かった!!!それに尽きる。
いやー、実写邦画興収トップの記録持ちは伊達じゃないわ。売れた作品の宿命で、なにかと映画好き、海外ドラマ好きからは馬鹿にされがちだけど、めちゃくちゃ面白かった。もう画面の熱量からして違う。一時代を作った作品なんだなと痛感した。
ここからは、個人的に特に刺さったポイントを挙げていく。TVシリーズ〜容疑者室井慎次 までの内容を含みます。THE MOVIE 3は見たことあるけどほぼ記憶ないから、今度の地上波放送が楽しみだぜ。
刺さったポイント1:演出
まずはなんといってもこれ。
カメラワーク、特に長回しのカットがすごい。しかも昨今のドラマよりモブの量が倍以上いるんだぜ……?
インスタやTikTokで流行ってるワンカットチャレンジなんて目じゃない。プロの仕事を見せられた感がある……。どうやって段取り組んでるのかメイキング見たい
他にも、今となっては普通だけど踊るが初出、て演出が結構ありそう。Wikipedia先生によると、邦ドラにおけるカットイン演出はこれが最初らしいけど……マジで?
背景のモブがいちいちストーリー性のある動きしてるのも好き。ちょっと堤幸彦を思い出した。
刺さったポイント2:コメディ
コメディというより、最早コント。スリーアミーゴスのシーンとか、存在しないはずのスタンドマイクが見えるレベル。
実写邦画でコメディ押し出してる作品って、大抵某三谷作品みたいに6割がた滑ってるイメージだったけど(どストレートな悪口)、本作は打率9割は堅い(残りの1割については、平成なら笑えたんだろうな……的なやつ)。
マジで切れ味がすごいし、作り手側も本気で笑わせにきてる感ある。
脚本の君塚さんはあの欽ちゃんの弟子らしいのでさもありなん。まぁ3以降は失速するんですけどね……
フジテレビのコメディドラマって、この後も脈々と続いていくんだけど、特にTVシリーズ〜歳末特別警戒SPあたりは、後発の作品とキレが段違い。
個人的にシリアスとギャグの落差が凄い作品大好きなので、そういう意味でも良かった。最近の作品だとゴールデンカムイとか逃げ若と同じぐらいの高低差あるわ。感動させた後に台無しにするの、作者の癖だね?
刺さったポイント3:意外とビターなオチ
ギチギチに詰められたコメディで笑わされて終わるから忘れがちなんだけど、本作意外と目線がシニカルというか、後味悪いオチが多いんだよね…
犯人は反省しないし、動機もそんなことのために?て脱力するもの多数。でもって、犯人逮捕こそできたものの、社会の歪みとか上層部との軋轢とか、本題は解決してないんだよほとんど。
そんなままならない世の中で、だけど現場は頑張ってるから希望がないわけじゃないよ、ていう〆がこの作品の持ち味だと思う。
……と、ここまではレビューとかでもよく挙げられてる部分なんだけど。
いろんな方の感想動画を見てて面白いなと思ったのが、「踊るシリーズのキモはここだ!」て語ってる点が、各々バラバラなんだよね。キャストを推す人、刑事ものとしていかにエポックメイキングだったかを語る人、元気だった頃のフジテレビの感傷に浸る人、邦画の歴史のターニングポイントとしての功績を述べる人、などなど。
どの一押しポイントも、うん、めちゃくちゃわかる!!と満面の笑みで頷けるのですが、個人的に一番刺さったのは、「令和にも通じる正義観」かな。正義感じゃなくて、正義観。
刺さったポイント4:正義とは、何か?
引用は、7話で雪乃さんを湾岸署で取り調べている間、真下くんと雪乃さんが青島について評するシーン。
青島くんって、パブリックイメージ的には熱血正義バカって感じで、実際8割ぐらいはその通りなんだけど、じゃあそれってアンパンマンなのか?っていうとそうじゃないよなって。
アンパンマンって、数あるヒーローキャラの中でも特に、自分の正義のため、とかじゃなくて、公共の利益のために、身を削って働いてる人なんだよね。
これも今回、通しで見て初めて気づいたんだけど、踊るって、全体的に正義に対する目線が現代に近いというか、ある意味冷めててびっくりした。もっとHEROみたいに理想バッチバチな感じかと思ってた。
もし日曜劇場だったら、多少ルールをはみ出ても最終的には大逆転!主人公チーム大勝利!!て感じになるだろうけど、踊るはよく見るとキッチリ処罰は食らってるし、奮闘した結果報われないエピソードも多い。
ちなみに、元ネタのアンパンマンの歌詞は「愛と勇気だけが友達さ」なんだけど、真下くんはあえて「だけ」を抜いてる点もめちゃくちゃ好き。
青島の後ろには、湾岸署のみんながついてるよ、て言ってるみたいで、すごく良い台詞だなと思う。
そして、本作における正義を語る上ではもう一人欠かせない人がいる。
室井さんだ。
青島くんと室井さんの約束、昔は単なるバディものっぽくするためのスパイス、みたいに捉えてたけど、めっちゃ重い設定じゃないですか、これ……
だって和久さんと副総監が果たせなかった願いなんだよ。THE MOVIE 2で副総監が和久さんにすまない、て言うシーンとかもう泣いちゃったよ。雨だれじゃんこんなの!いつか石を穿つための、たった一滴の雨だれじゃん!
この間地上波放送してた「容疑者」を見て見事に頭をぶん殴られ、それ以来そんなことばかりぐるぐる考えている。
「容疑者」、本編と世界観違いすぎて衝撃だったんですよね……。
室井さん、湾岸署のコメディ時空に居る時以外は、こんな世界を見てるの!?て。それこそ「さよーならまたいつか!」でいう地獄じゃん……
青島くんは最初から芯のところはあんまりブレないんだけど、室井さんのほうはその後も結構何度も揺らいでるところも、人間臭くていいよね。
だってさぁ、何回諦めようとしてるねん、室井さん!!
あの人、一見組織のはぐれもので、孤独に一人で立ってるイメージが強いけど、実際はそんなに強くなくて、周囲の人間や状況にはっぱかけられてなんとか立ってる人な気がする。
今回通しで見て、ボロボロになりながらも立ち上がるところ、すごく尊いじゃん……と言いながら、私はいつの間にか心の中でミラクルライトを振っていた。
で、結局何が言いたいのかというと、本作における正義って、作品の世界観に対してかなり脆いし、儚いものだと思う。
また他作品の話して申し訳ないんだが、正義とは何なのかを語る時に、大好きな台詞があって。
まーーーたMIU404の話かお前は?どんだけ擦れば気が済むんだ??
ともあれ根本的な精神性というか、台詞に込められた祈りが、踊るも近いところにあるよな~て思った。
まあ野木亜紀子と違ってその過程で「ルールは破るためにある!」とか言っちゃうとこが流石に平成の倫理観〜!て感じだけど。
この「世界は綺麗なんかじゃないし、ままならないことも多いけど、その中でも正義は大切に守っていかないといけない」て世界観がどうにも好きだ。
まあシリーズ通したら青島くんも室井さんも結構ブレるし、作者はそこまで考えてないと思うよ案件だとは思うけど!!
私が踊るシリーズのどの部分が一番刺さったか、っていうと、根底に流れてるこの思想なのかなぁ、と。
おまけ:「容疑者 室井慎次」鑑賞直後に書き殴ったレビュー
この映画の舞台である(どう見ても異聞帯の)新宿、かなり好きだからスピンオフとかユニバース作品とかでもいいから、再登場してほしい〜
で、最新作見るんですか?
今回の映画見るのめちゃくちゃ怖いです!!室井さんケーサツやめたん!?!?約束を守れなかった!?どういうこと??
個人的には前述の理由から、警視総監になってる未来以外は許さん!!とかは一ミリも思ってない(むしろ他人の子供を養育してるの、しっくりきすぎてそうきたか〜!と膝を叩いた)のですが、ちゃんと精神はそのままでいて欲しいな……
それこそ雨だれの一滴でもいいから、最後まで消え失せずに笑って青島くんと再会できればいいかな、と個人的には思ってる。
後編のタイトルが「生き続ける者」だし大丈夫なんじゃないかと思うが……
ほんとに頼むよフジテレビ……