今日のやさしさはいつかの”恩返し”
「I like your clothes!」
海外の人は、すれ違いざまにそう声を掛けてくれる。
「love your shoes!」
「cute dress! where did you get it?」
とか。どの国でもそうだ。そう言われるたびに、くすぐったくて嬉しくてぎこちなく「Thank you.」と言う。
今回の旅行でもそうやって声を掛けてもらって、これはいわゆる「挨拶」のようなものなんだな、と改めて思った。
Airbnbのホストたちはみんな、家の説明だけではやく、周囲のこともマップを見ながら丁寧に教えてくれたし、お菓子や朝ごはんを用意してくれていた。
電車のなかで重たいトランクを棚に乗せるときは毎回後ろの席の人が何も言わずに助けてくれた。
道ゆく人は親切に道を教えてくれたし、日本人だとわかると辿々しく日本語で「こんにちは」と言って笑った。
海外の人はあったかい。
わたしが恵まれているだけかもしれないけど、少なくともアメリカで過ごした4年間でも、何度も行っている海外旅行でも、誰も彼もがやさしかった。
だからかもしれないが、日本で外国の人に道を聞かれたら、現場まで道案内をしてしまうし、スマホを貸してしまうし、コンビニで日本語を頑張って使っているのを見ると「日本語、難しいのに覚えてくれてありがとうございます…!」という気持ちになる。
旅行に一緒に行った友人は同じく帰国子女なのだが、東京オリンピックでボランティアをするのだと言っていた。
これは、いつか自分がもらった”恩返し”なのだと。
そうやって、”恩返し”が連鎖していけば、世界は平和になるはずだと。
わたしは難しいことはわからないけど、今、日本を取り巻く環境が危ういなかで、みんながいつか受けた”恩”を思い出してほしいと思っている。
来年、オリンピックが来る。
海外旅行に行くとますます思うが、海外の広大な土地に比べ、日本はあまりに小さい。小さい割に東京の人口密度は高く、いつも改札周りで人混みに流されながらオロオロとしている観光客を目にするたびに、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
来年は、もっとたくさんの人が日本を訪れるだろう。旅行中にも、「オリンピックを観に初めて日本に行くんだよ!」と言ってくれた現地の人がいた。
お世辞にも「のんびりと」過ごすには厳しい東京にわざわざ足を運んでくれる世界中の人たちが、どうか日本でいい思い出を作ってもらえますように。どうか好きなところを見つけてくれますように。
それは、私たち一人ひとりのちょっとしたやさしさに懸かっている。