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その夜、お気に入りのニットを汚した。

宴の最中に、ワインをこぼしてしまった。こぼれたワインは、私のお気に入りのニットにシミを作った。コットン素材のサマーニットだ。今夜、もう2時になるのに眠れないのは、そのシミのせいだ。

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私には友達が多くない。

大きな集団でのコミュニケーションは、あまりにも魅力的に思えないから、"サシ"での付き合いが圧倒的に多い。それに加えて、『嫌かも』と感じた時には、嫌悪感に正直に、すぐ人と距離をとってしまう。

嫌悪感に正直に動く自分のことは嫌いじゃない。それに蓋をして、我慢して人付き合いをすることに意味があると思っていないからだ。仕事や学校では事情が異なることも勿論あるだろうが、自分で選べる友人関係においてなら尚更だ。どれだけ長い友人でも、無理な時は無理なのだ。

最近、大好きな友人と距離をとってしまった。これから、どのように戻ればいいかわからない。戻ることができるのかもわからない。

彼女を好きな気持ちは無くならないけれど、私の気持ちはまだ波立っているのだ。

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性的な描写も一部含まれます。苦手な方はお控えください。

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先日、友人と、その友人と酒を飲んだ。久しぶりの「宅飲み」だった。私と友人とは長い付き合いで、お互いのあれこれを知っている。

紹介したい友達がいる、と前々から打診されていて、その日ようやく集まった。宴は盛り上がり、私は最中に勢い余って、たこわさをズボンに落とし、ワインをニットにこぼしてしまった。どちらもとてもお気に入りだったけど、落ち込んで雰囲気を崩したくなかったので、部屋着を借りて、どちらもすぐに水で洗い、何食わぬ顔で宴に参加し続けた。

宴は終始楽しい雰囲気だった。友人は、私の前ではつぶれまいと会の前日からとても気合を入れていた。酒を選ぶ時から緊張していて、飲んでいる最中も努力してくれた。しかし、開始早々すぐに潰れてしまったのだ。

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私は友人の友人らにはあまり興味がなかったから、友人が復活するまで退屈だった。そばにいて介抱していたけど、彼女は何時間経っても起きなかった。介抱の係を友人の友人に代わり、リビングに戻った。

そして、しばらくして様子を見に行くと、潰れた友人は、全裸になっていた。介抱係を変わってくれたはずの彼は、私の友人にまたがっていた。彼は様子を見に行った私と目を合わせ、キョトンとした顔でこちらを見た。

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