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遺骸片

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頭が良いフリをしたくなる程度の知能があるせいで、生きづらくなってしまい、頭の中がぐちゃぐちゃになる。それをくみ取ったもの。抒情詩。
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2024年10月の記事一覧

163_企業戦士

最低賃金で最高成果を求められる 僕が動くエネルギー源は やりがいという名のカロリーゼロ食品 小休止を取る雨露しのぐ場所には 季節を超えた毛布と隣人の発狂声援 あと一時すれば鳴り響くだろう枷を手に 夢の中でぐっすり眠る夢を見る 守るものができた戦友には 守るものが増えた規律が褒美として 今よりも前線に駆り出される やりがいというエネルギー源が切れたら 人質という言葉で起き上がる 守るものができると人は変わるだと 今日もまた守るものを作らされる 瀕死になれば僕らのせいとして

162_栄養成分表

僕がいつも食べているものは情報が細かに書いてある 原材料カロリービタミン塩分などなど まさに健康に気を遣う僕にとっては大事な情報だ それに比べて君たちが食べているのはなんだ 何も書いてない食材を買って切って煮て焼いて 調味料も適当な量を入れているせいで まったく信用できない食べ物になっているじゃないか どうせ今日はしょっぱいとか甘いとか 作ったやつに不平不満を言うのだろう 僕はそんなことは言わない いや言えない 作っているのは僕なのだから たまにはしゃべりたくなるから

161_しごおわ

大した仕事なんてしてないよ 何日かすれば誰でもできる単純作業 でもなぜかそう呟けばまるで 一人前の社会人としてやっている気がしてさ どうせなら高給取りになりたい どうせなら働かずにいきたい でもどっちでもない 程度の低い安定という不安定 だからずっと一人前の社会人を 気取らなきゃいけないやっていけない そう呟けば 働いていない人よりは 働けない人よりは 人に認められるかなって思ってさ そんな下ばかり見てるゲスな僕 今日も仕事が終わりました しごおわです

129_僕にしか話せない言語

今は誰ともつながれるから 色々な言語が飛び交ってる 僕の住んでる国から飛び交う言語は 他の国よりも何となく分かるけれど 完全に理解したことは一度もない だから僕が伝えたいこの言語も 完全には理解されないんだろうな 誰かの心に届くといいな なんて理解されないのに どうしてずっと話してるんだろ どうしてずっと止まらないんだろ ずっと僕にしか分からない言語を 今もこれからも話してる

133_愛想と愛嬌

嫌われるのが嫌で叱られるのが嫌で 愛想を振りまいて生きてきました おかげさまで愛想のいい人になりました でも結局は愛想ってだけでそこまで そこから先には誰も入って来てくれない 誰かに入ってきて欲しい 私を知ってほしいと思って 笑顔を振りまいても振りまいても 全部が愛想止まりになってしまう 愛嬌が欲しい 愛嬌のある人になりたい 愛嬌のある人はどんどん取り入れて もっと愛嬌のある人になっていく 愛嬌のある人になるなるために 愛嬌を持つにはどうすればいいですか がっつきす

136_何が正解で何が間違いで

本当に考えれば考えるほど 何が何なのか分からなくなる 理想ばかりで現実見えてないと批判されて 現実ばかりで理想見えてないと批判されて 丁度いいところに落ち着いたとしても もっとよくなるって進化を追い求める そしてまたどっちがどうとかになって 正解って言葉はだれが決めたんだろう 判断してるしてる人は正解してるのか 判断されてしまった人は間違いなのか こうして悩んでる事が正解なんだって そうやって自分を納得させてばかりで 進んでるのか戻っているのか 結局分からないことが

137_混血

中心から端まで巡り巡って僕らは生きてる 辛いときは回してくれて 辛いときは回してあげた それなのに滞り始めた今日 僕に回してくれなくなった 何度もお願いしてもダメだった 死にそうになった ようやく気付いてくれて回してくれた ああよかったと思ったら注射された血 僕らが作ってきた 僕らが回してきた それではない全然違う誰かの血 同じだから回るだろうってくれた でもやっぱり僕とは違うから 不具合 ようやく気付いてくれて回してくれた ああよかったと思ったら注射された血 僕らが作っ

139_肉を愛でる

動物が僕らに懐いている姿を見て 撫でた手でナイフとフォークを持って おいしい動物のお肉を頬張る 懐いてくれる動物は優しくするよ 僕らの心を満たしてくれるから 美味しい動物は優しくするよ 僕らの心を満たしてくれるから みんなみんな僕らの可愛い動物たち これからも僕らのために生きてください 全ては肉を愛でるため

141_かみさまとおくすり

おいしゃさんとおかあさんが どっちもおおきなこえではなしてた びょういんではしずかにしなきゃいけないのに おかあさんはかみさまに おねがいしなさいって いつもいってるから おべんきょうもいのれば きっといいてんとれるよね だめだって かみさまにいのればきっと よくなるっていってたのに どうしてうそをつくの おいしゃさんがおくすりくれた もうまにあわないっていってた おかあさんはだめだっていった おとうさんはのみなさいっていった おくすりほしい おくすりほしい おく

142_空虚

なんだかんだありながらも仕事には就けました これでようやく人様に出れる権利を得られたよ でも周りを見渡してみたんだ 僕と同じ年齢で 何倍も稼いている 部下がついている 役職を持っている 誰か結ばれている 家庭を築いている この気持ちは何なんだろう 何も成し遂げていない僕は たぶん二度と手にできないだろうという諦め そして二度と追いつけないだろうという諦め これからずっと諦めていく数が増えるんだな 今はまだ体が思うようには動くから 今はまだ心が新鮮味を求めてるから 今は

145_本当の敵

「僕らは決して屈しない!」 「そうだ!」 「頑張れ!」 これが僕らの仕事 生きる糧を稼ぐ仕事 絶対に勝てない敵がいるからこそ 僕らの正義は金となって糧になって 僕らは生きていけるんだ だから本気になんてしないでくれよ 僕らの邪魔をして倒さないでくれよ 僕らの敵は演説で批判してる奴らじゃない 僕らの本当の敵は僕らの敵を倒す奴らだ

147_アクセルとブレーキ

あんまり深く考えちゃダメ 考えたところで問題が解決するわけじゃないのに どうしてこうも考えてしまうのだろうか 立ち止まってしまうのだろうか ブレーキなんて頭のいい奴が うまく使って初めて有効であって バカな奴は突っ込むのが利口で 中途半端な奴は使い分けれらるわけがない

148_あっちこっち

あっちでは苦しいからさ こっちでは楽しい事を書く あっちでは物足りないからさ こっちでは過激な事を書く 腹が膨れるのはあっちだけ 美味しいものが食べれるわけじゃないんだけどさ 心が膨れるのはこっちだけ 誰かが認めてくれてるるわけじゃないんだけどさ あっちこっちと行ったり来たりしてばっかりでさ あっちにもこっちにも僕というものがいないんだ さっさとこっちを捨てて あっちの住人になればいいのに さっさとあっちを捨てて こっちの住人になればいいのに どっちでも生きようとす

151_母の味

母を見送ってからしばらく経ったある日のことだった ふと母の味が食べたいと思い立ち、台所に立った 母がよく作ってくれたのは安いソーセージと野菜の切れ端の炒め物 醤油とみりんと少量の砂糖で作る甘めな味 普段から料理を作っている僕には朝飯前な難易度の料理 もちろんすぐにできた うまそうだ 今までに何度もこの料理を作ったことはある 母が作っているのを見てレシピを覚えて 母が帰ってくる前に一人で作ったこともあった けどやっぱり母が作るほうがおいしかった 今日はどうだろう 超えられるだ