2022年Sault とInfroがくるー!
2021年を振り返った時、アルバムとしてクレオ・ソル『Mother』とリトル・シムズ『Sometimes I Might Be Introvert』が個人的に印象に残りました。BEST2021の記事でも述べたので詳しくは触れませんが、前者はメロウなネオソウル、後者はソウルフィーリング溢れるネタ使いの光るヒップホップと、それぞれ違いはありますが、共通する点がUKのブラックミュージックシーンから生まれた作品であること、またアルバムのプロデュースした人物がインフロー(Inflo)なる人物であること。こんなにテイストの違う血のかよった傑作を2作同時に生み出すインフローって誰よ??って気になったので調べてみたら、彼自身のグループ、ソー(Sault)のアルバムが2020年には好事家の間で高い評価を得ておりました。
ソー(Sault)ってどんなバンド?
Saultとは2019年にUKに突如現れた覆面ユニット。「5」「7」の2枚のアルバムをリリースしています。メンバーはインフロー(Inflo)名義で活動するプロデューサーのDean Josiah Cover、ソウル系シンガーソングライターのクレオソル(Cleo Sol)ことCleopatra Nikolic、シカゴのラッパー、Kid Sisterらが関わっているらしいです。
2020年に2枚の傑作アルバム「Untiteled (Black Is)」「Untitled (Rise)」を発表。2021年には99日限定でしか聴けたり買えたりできなかった「9」も発表しています。
曲のテーマも黒人である自らのルーツやアイデンティティに関するものや、BLMなどの運動にも呼応したメッセージ性の高いものが多く、強いエッジを放っております。
その音楽性とは?
70年代のソウルやファンク、ジャズのフィーリングにアフロやポストパンクの攻撃性をミックスしような刺激的な音楽性で、非常に多様で奥深い世界を展開しています。Liquid Liquidのようなミニマムなザラついた音像のダンスナンバーやフェラクティのようなアフロビート、エレクトロなブギーチューン、オーガニックな70s風ソウルなど、打ち込みと生音が有機的に結びついた非常に個性的なサウンドは、UKブラックミュージックの歴史を感じずにはいられませんでした。売る仕組みが出来上がりすぎカテゴライズして流行を作るアメリカと違って、イギリスの音楽シーンは、昔から多様で自由な土壌があるように感じます。ソウル、ヒップホップ、レゲエなど多様なブラックミュージックのスタイルや影響を吸収し、過去から未来の新しい音楽を紡ぐそのスタイルは、80年代〜90年代のWild BunchからSoul II Soul やMassive Attack、ウェストロンドンのシーンとも呼応した4 Heroの後期の傑作を思い起こします。
(見出し画像参照ください。相関図ではないですが、勝手なイメージです。)
現在4枚(9を入れると5枚)のアルバムがありますが、個人的にはRiseがポジティブで明るいパワーを感じ、完成度が高いのでオススメです。
Saultを感じる4曲
私がSaultを聴いて、思い浮かべたUKの先輩のユニットの代表曲をご紹介。彼らがいなければSaultも誕生していないかも。
という訳であれこれ書きましたが、2022年、ニューアルバムが非常に待ち遠しいグループで、インフローのプロデュース作品も含め目が離せません。