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映画「十一人の賊軍」感想

予告編が印象的だった「十一人の賊軍」に行ってきました。

戊辰戦争時、同盟軍を裏切って新政府軍に寝返った新発田藩の史実に着想を得て、ある砦での新政府軍との攻防が描かれます。

新政府軍に砦を抜かれたら藩にとって「とんでもない」ことになる状況で、砦の死守に駆り出されたのは罪人たち。
侍殺しの主人公マサ、イカサマ師、辻斬り、生臭坊主に火付けの下手人、密航しようとした医者の卵、間男など、戦とは無縁としか思えない罪人たちは、「務めを果たしたら無罪放免」を条件に、死地に立つしかありません。
お目付役として囚人たちと行動を共にすることになった若い侍たちも、圧倒的に不利な状況を戦うことになります。

この下、ネタバレありますので、要注意でお願いいたします!!




お話は二つの場所で進んでいきます。
砦で戦うダブル主人公、罪人マサと若き侍、鷲尾。
城で同盟軍と対峙する、新発田藩家老、溝口内匠。

奥羽越列藩同盟と新政府軍の板挟みで、進退窮まった新発田藩。
実は藩の新政府軍への寝返りは最初から決定事項で、その為に同盟軍と新政府軍の鉢合わせだけは回避したい。その為の砦の死守。

新政府軍に強襲され、藩に対する恨みで脱走を繰り返していたマサも、生きるために戦うしかなくなります。
同盟軍に参戦することを望み、家老の言葉を信じて砦の死守に命を賭ける鷲尾も罪人たちとともに新政府軍を迎え撃ちます。
2日。耐えれば任務は終わる、はず、だったのに、いつまで経っても完遂の合図はきません。

砦での攻防と対をなすように、この時、城では政治的攻防が展開されています。

早く新政府軍との戦に参戦しろ、と圧力をかけに来ている同盟軍を穏便に追い出して、新政府軍を迎えたい、そして寝返りを伝えたい。
新発田藩の家老、溝口内匠はあの手この手で参戦を遅らせつつ、同盟軍にとっとと城下から出て行ってもらう為に非道な手すら使います。
いやもう…仕方ないとはいえ。ひどい。
立場上、仕方ないといえば仕方ないんですが。
あんな藩の命運をかけた、板挟みの状況で、あの主君で…。
自分がどうにかしないと藩は終わる。
しかし、この溝口内匠…。この人がもう、「気持ち悪い」(褒めてますw)
あべさださんの演技も相まって、同情したい気にならないんですよねえ(褒めてますw)
「当然」としか思っていない。
口では仕方なかったと詫びてみせるけど、どうにも絶対思ってないようにしか見えない。
部下を騙して死地に追いやり、甘言を弄して罪人たちを使い捨てる。
なのに、責任を押し付けられ、切腹しろと言われておとなしく従おうとしたり…
完全に「中間管理職」全開なのに、それでも全然同情したくならない。
なんの迷いも見せないから。
悩むのは「どうすれば思惑通り上手くやれるか」であって、誰かを思ってのことではない。
「藩のためなら何してもいい」「それが自分の正義」、みたいな。
切腹を受け入れようとしたのも藩の為だろうし。
ただ、単純に藩の為というか、「それが自分の仕事だから」みたいな、感じの方が強いですけど。
「何かの為、誰かの為」っていうのと、一番遠いところにいる感じがするんですよねえ。
その割に、単純な保身に走らないから「ただの極悪人!!」てならないのが…面倒くさい!ww
結果、「アンバランス」がバランスをとる、みたいな不思議な「気持ち悪さ」を醸し出しているんだなあ、内匠…。
あべさださんの演技ありき。すごいです。
淡々と刀を振るって血まみれ…もすごかったし。あれも一応、「百姓ではない」わけですが、温情と言うより「効率」な気がしてしまう。
最後の最後、本当の「懺悔」だけが、彼の良心のすべてなんだろうなあ…
と、観終わった時思ったけど…あれすら「スタイル」かもしれない、と思ってしまうほど、内匠の「気持ち悪さ」はすごいです…(褒めてます)

しかし、そんな藩のやり方に振り回される罪人たちはたまったもんじゃありません。
いつまで経っても任務完了の合図はこないし、砦とは名ばかりの防衛力しかない砦に大砲なんか撃ちこまれるし。
そもそもどうして自分たちが「奥羽越列藩同盟決死隊」を名乗りながら、「長岡藩」の旗印を持たされているのかすら、わからない。
それでも「無罪放免の約束」の為に、生きるために戦うしかない。
嘘に気づいた後も、生きるために決死の覚悟で戦う。

そんな状況におかれているのに、罪人たちがみんな面白くて、明るいから救われてます。
ノロが「弟」していて可愛い
マサについて回る様子は子犬のようですw

攻防の肝になる爆弾。
黒い水は油田?なのかな?

見どころはたくさんあるのですが、最終盤の内匠との攻防が…
鷲尾の殺陣が凄すぎてー!!カッコいいーー!!
対峙する内匠が嫌なやつすぎて良い(褒めてますw)
鷲尾役の仲野太賀さん良かったー!最初から最後まで、良い!です!
一気に好きな役者さんになっちゃいましたねw
あの「十一人目」のくだりとかぐっときた…。
「ふざけるな!!!」も良かった…。良い人…良き侍…。
あと強殺犯のじいちゃん役、本山さん。
剣会の方だったーー!!かっこ良かった!元槍術指南役とか、たまりません!本物の殺陣かっこよしー!
楽しみにしてた音尾くんは、一瞬すぎてぽかーんとなりましたw「え、ここだけ?!」てw
いや、それでもさすがの存在感だったのが凄いけど(笑)!

全編、白石監督真骨頂ていうか。
血みどろ、断面、爆裂…てんこもり。
血に弱い人は注意です。
すべてにおいて派手すぎる(笑)

侍タイといい、戊辰戦争、幕末はドラマがてんこ盛りです。
白虎隊見直そうかなあ。

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