「イガグリ坊主と森のナゾ」
むかしむかし、深い森の奥に、イガグリ坊主と呼ばれる二匹のハリネズミの兄弟が住んでいました。お兄さんはイガくん、弟はグリくん。彼らはいつも青い帽子と赤い帽子をかぶり、秋の風が吹く中、森の中を元気に走り回っていました。ところが、この二匹はとてもいたずら好きで、森の仲間たちを困らせることが大好きでした。
ある日、イガくんがにやりと笑って言いました。 「グリ、今日はどんなイタズラをしようか?」 「今日は…リスのドングリを隠しちゃおうよ!」とグリくんが答えます。
森のリスたちは、寒い冬に備えて、一生懸命ドングリを集めていました。イガくんとグリくんはリスが見ていない間に、そのドングリをこっそり隠し場所から運び出してしまいました。リスたちは大慌てです! 「ドングリがない!これじゃ冬が越せないよ!」
しかし、イタズラが成功して大喜びの兄弟は、次々と他の動物たちにもイタズラを仕掛けていきます。うさぎの大切にしていたニンジンを埋めてしまったり、カラスの羽をひもで結んで飛べなくしたり、ヤマネコのお昼寝の時間に大きな音を立ててびっくりさせたり。森の動物たちはすっかり困ってしまいました。
ある日、森の奥深くに住む賢いフクロウが、イガくんとグリくんを呼び止めました。 「君たち、そんなにイタズラばかりしていては、いつか自分たちも困ったことになるぞ。」 でも二匹はフクロウの忠告に耳を貸しません。 「だって、イタズラは楽しいんだもん!」 「僕たちはイガグリ坊主さ!誰にも負けないいたずらっ子だ!」
そして、さらに大胆なイタズラを計画しました。それは、森の一番大きな木に住む、伝説の木の精霊「オオカエデ」を目覚めさせるというものでした。オオカエデは何百年も静かに眠っており、森全体を見守っていると伝えられていました。しかし、その力を乱すと、森全体に影響が出ると言われています。
「さあ、オオカエデを起こしてやろう!」とイガくんが笑顔で言うと、グリくんも興奮して「面白いことになるぞ!」と返しました。
二匹はオオカエデの根元にそっと近づき、彼の木の幹をトントンと叩きました。すると、突然、風が強く吹き始め、木々がざわめきだしました。葉っぱが舞い上がり、空が暗くなっていきます。イガくんとグリくんは驚きましたが、まだ笑っていました。
しかし、森の奥からゆっくりと、どこか懐かしくも恐ろしい声が響いてきました。 「誰が私の眠りを乱したのだ…?」
兄弟はその場に立ち尽くしましたが、逃げることもできずにオオカエデの前に立っていました。彼らは初めて、ちょっとやりすぎたかもしれないと感じ始めました。
オオカエデはゆっくりと目を開け、二匹をじっと見下ろしました。そして、静かに言いました。 「君たちは、森の仲間たちを困らせ、私を目覚めさせた。しかし、森のバランスは乱してはならない。私が再び眠りにつくためには、君たちが自分で責任を取らなければならない。」
兄弟は顔を見合わせ、どうするべきか悩みました。これまでずっと楽しいと思っていたイタズラが、今は少し後悔に変わっていました。
「でも、どうすればいいんだろう?」グリくんが小さな声で言いました。 「そうだね…みんなに謝らなきゃいけないのかも」とイガくんも考え込みました。
そこでイガくんとグリくんは、森の仲間たちのもとへ行き、これまでのイタズラを謝りました。リスたちにドングリを返し、うさぎのニンジンを掘り起こし、カラスの羽を解いてあげました。動物たちは最初驚きましたが、二匹の真剣な姿を見て、少しずつ許してくれました。
最後に兄弟はオオカエデのもとへ戻り、「ごめんなさい」と言いました。オオカエデは静かに頷き、再びゆっくりと目を閉じました。森は再び穏やかな静けさに包まれ、秋の風が心地よく吹き抜けていきました。
しかし、この物語にはまだ結末がありません。オオカエデが再び眠りについた後、イガくんとグリくんは本当に反省したのでしょうか?それとも、また新たなイタズラを考え始めたのでしょうか?それは、読んでいるあなたにお任せします。
終わり?
読者への問いかけ
イガくんとグリくんはもうイタズラをやめたと思いますか?それとも、彼らの好奇心は止まらない?みなさんはどう考えますか?
この作品の結末は、みんなそれぞれ違います。
結末をあなた自信で考えてみて下さい。
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