世界は、Talent Intelligence (タレントインテリジェンス)により、急速に変わろうとしている
初めまして、Freecracy代表の国本です。
前回のブログ、かなり前になってしまいましたが、その中で私たちはなぜ私たちFreecracyがTalent Intelligence / SkillsTechプロダクトにフォーカスしていくのかという話をしました
(ご参考: https://note.com/mild_condor7256/n/nab507e23d113 )
実は今導入を進めさせて頂いているエンタープライズ企業様含め、色々な業界の大手企業様に話を聞かせて頂く中で、今の日本のHRTechマーケットにとても危機感を抱くようになり、それを少しでも紐解いていきながら、今後のことを一緒に考えたりしてもらえたら良いな〜という想いで苦手な文章をまた3ヶ月ぶりに書いていますw。
ちなみにTalent Intelligenceという言葉はまだ日本であまり聞き馴染みのない言葉かと思いますが、今覚えておいて損のない言葉だと思います。
簡単にご説明すると、今流行り始めている言葉『AI Agent』の中で特にHR(人事領域)に特化したもの。つまりHR特化型AI Agentという理解をしてもらえれば十分かと思います。
まずこちらの図を是非見て頂きたいです。
こちらの作成者であるJosh Bersin氏は、人材管理(HR)と組織のパフォーマンスに関する専門家として世界的に知られている人物です。HRやリーダーシップ、タレントマネジメント、学習・開発(L&D)分野における影響力のあるリサーチャー、アナリスト、コンサルタントとして活動している方です。個人的にはHRTech領域における最も優れたリサーチャーであると思っている方です。
その方が作られた上記のHRTechプロダクトのカテゴリーが上記の図です。
大きく分けると4つのカテゴリーに分かれていますが、ざっくりご説明すると下記のような説明になると思います。
1) Pre-AI:これは言葉通りですが、AIが実装されていないプロダクトです。つまりは情報の整理はでき、データは個人のPCではなく、クラウドに保存される。それくらいの感覚のプロダクトです。
2) AI Added on:これは人で言うと、AIが皮膚移植されているようなものであり、本当の意味で内部の構造にまでAIは入っていないが、少しAIによるサポートがあるといったイメージです。アメリカにあるほとんどのプロダクトはこのレベルだということです。
3) AI Built in:こちらも人でいうと、AIが筋肉となっているようなもので、人の行動のサポートをその筋肉が行うといったレベルです。ここまで来ると省人化や思考のサポートといったところまで出来てきます。ここには皆さんもお聞きしたことのあるであろう大きなアメリカのHRジャイアント( LinkedIn / SAP / Workday / Cornerstone )がマッピングされています。
4) Built on AI:さてこちらです。Second Generationとも言われていますが、まさに今Talent Intelligenceにおいて世界の中心になっているプレイヤーです。またまた人でご説明すると、もう骨格がAIで出来ているというレベルです。
ちなみに私は野球(特にメジャー)が大好きなのですが、大谷選手が2度経験しているトミージョン手術は、腱(骨と筋肉を繋ぐもの)の移植を行うものですが、世の中には色々な筋肉の移植手術もあります。
脱線してしまいましたが、何が言いたいかと申しますと、筋肉は移植できるということです。つまり、AI Built onのプレイヤーに既存のソフトウェア会社が変身していくということは可能だと言うことです。
但し、骨格の移植は非常に難しいものです。人間の身体は206個の骨で出来ていると言いますが、無駄なものはなく、これらを全て移植していくのは現在の医術では不可能です。
話が長くなりましたが、大切なこととして、Built on AIのプロダクトはそもそもそういったAIをベースにした開発思想を持ち、作り込んでいかないと絶対に作れない(他から変更もできない)ということです。これはイノベーションのジレンマという言葉より非常に恐ろしい状況です。
少し前にSalesforceの死 ( https://a16z.com/ai-transforms-sales/ )という記事がアメリカの超大手VCであるa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)から出されましたが、まさにその様な状況はCRMだけではなく、HRにおいても起こっているということです。
実はそれゆえにAI Built onとカテゴライズされているHRジャイアント達は必死に新しいプロダクトの創造や買収を現在行っています。記憶に新しく、日本にも影響しているニュースでいきますと、CornerstoneによるSkyhiveの買収です。これは2024年のニュースですが、実はその1年前に日本のBenesseがこのSkyhiveへの当時レートで13億円ほどの出資を行っています。
Skyhive投資により、Benesseは人のスキルの可視化とUdemyによるLearningのマッチングを実現しようとしていた(している)と私は考えています。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、上記の様な現状について、色々な日本のHR企業様、HRTech企業様とお話させて頂きましたが、ほとんどの方々が言葉自体やこういった世界があること、そしてそこでこの様な激しい買収合戦が起こっていることを知られておられませんでした。
ただ実は大手企業様の人事の方々や経営層の方々は独自にリサーチを行い、これらのプロダクトの検証や独自にAIをHR領域に当てはめていく検証をされていることに衝撃を受けました。
これはつまり本来専門家であるべきサービス提供側が、サービスを享受すべきクライアントより専門知識やAIの実装において遅れを取っているということです。そしてその結果何が起きるかと言うと、大手企業様で導入するレベルのプロダクトを自前で実装することは非常に大変なことなので、結局は海外のTalent Intelligenceプロダクトの導入が始まり、日本のHRTech企業は排除されていくということです。
今日本のHRTech企業は残念ながらカテゴリー1のPre-AIに分類されるでしょう。その企業群がプロダクトの多機能化を図っています。例えば、労務をやっていた会社がタレマネ機能を追加したり、タレマネをやっていた会社が労務機能や、勤怠管理を実装したりと言う具合です。
失礼な言い方になりますが20年前にコモディティ化した白物家電やパソコンを各社が差別化も大してないまま作り込んだ日本の電機業界そのものだと私は感じています(今は日本の電機業界さんは様々な進化を遂げており、それは感服しています)。
この様な状況の中で、弊社Freecracyは、そもそもが東南アジアと日本の融合チームということもあり、日本から始まり、世界で戦える真に必要とされるTalent Intelligenceプロダクトをグローバルで開発しています。
日本には日本の、さらに言うならばその業界ならではの経営戦略、人事戦略があるので、大手企業様と一緒に学ばせて頂きながら、より素晴らしいプロダクトを一緒に作らせて頂いております。ただまだまだ色々なものが足りていません。
この記事をお読み頂き、弊社プロダクトや会社に興味をお持ち頂いた方、Talent Intelligenceについて興味をお持ち頂いた方、今後経営戦略や人事戦略において、新しい形でのプロダクトやサービス導入を考えて頂いた方、どの様な形でもご興味を持って頂けたなら、是非一緒に日本の今後のHRや業界、プロダクトについて語らせて頂きたいので、ご連絡いただけますと幸いです。
Freecracy 国本
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