夏着物のお片づけ その1
9月になると、夏の間、着ていた着物をお片づけする。絽の着物は、9/10まで、特に地の白いものは、8月いっぱいと決めて、潔くしまう。今年のように、外出がままならず、また、飲食を伴う会合がなかったときは、陰干しして、そのまましまう。汗をかいたと思うときは、着物専用の洗剤で洗い、タオルドライして、お風呂場に干す。生乾きのときに、アイロンして、さらに1日部屋干ししてしまう。
先日、歌舞伎座に出かけたとき、雨にあった。濡れた着物は、紺地なので、足袋の後ろがうっすらと青くなっていた。着物は9月の終わりにまとめて洗うが、その時着ていた絽の長襦袢は、すぐに洗って干した。長襦袢はオシャレ着洗いで、洗濯機にそのまま畳んで置き、デリケートモードにして洗う。お風呂場に干す。基本、夏の絽の長襦袢はすべて洗ってからしまうのだが、毎日少しづつ、二枚が限度。天候を見ながら洗う。
9月は、半襟を絽から塩瀬に付け替える。その一方でたくさん着た二枚は洗い、今、残っているのは、五枚。すでに一枚洗ったので、三枚はしまえる。残りは、気温を考えながら、たぶん10月いっぱい、活躍するだろう。10月に衣替えして、単から袷になって、長襦袢は絽を着る。これも暑い日には大変役立つ。半襟が秋物になっていれば、中のものは、確かめたりしないので、大丈夫。本音と建前という、日本人の暮らしは、着物生活の知恵だったのではないだろうか。
人の迷惑にならない、人を驚かせないで、季節に寄り添った形式で、うまく調和させる。こんなに寒暖の差が激しいときは、下に着るもので調節して、季節感を大切にしたい。単の時期は、本当に短い。9月半ばから、10月の初めまでの数週間。おうち着物なら、10月いっぱいは、単もありだと思う。琉球絣や、結城紬の単で、厚手のものは、晩秋でも着られる。ただ、外出するときは、10月になったら、薄手の袷にしよう。
絽の半襟は洗って、ラップの芯にクルクルと丸めてしまっておく。来年の7月に付け直すので、夏物小物と合わせてしまう。夏用の帯、帯締め、帯上げも、使う頻度や、汚れ具合で、そのまましまうか、洗うかを決める。今年のようにお出かけが少なかった夏は、一度も使わない小物がたくさんある。それもまとめて、夏用の茶箱にしまう。まとめておかないと、夏の季節がはじまったときに、見つけられないから注意。
着物は季節の先取りがオシャレといわれる。桜の季節に桜の帯ではなくて、まだ肌寒い時に、桜の着物をして、春の予感を楽しむ。夏の絽の着物には、紅葉の柄や、ススキの模様がある。これも季節の先取り。今年は、おうち時間がたっぷりあるので、メモも残しながら、着物のお片づけをしようと思う。浅めの五段の着物タンスも購入した。ここにしまいながら、メモも残し、分散しないように注意する。使える季節が限られているものは、まとめて、一度でも手を通してあげたい。