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発達障害診断と知能検査のメリット、動作性IQ境界域の世界を語る
・知能検査WAISを受けるメリット
・発達障害の診断を受けるメリット
・動作性IQが境界域であることによる仕事への具体的な影響と周囲の見え方
について書きました
先日上げた記事の一部をクローズアップしたような内容になっています
独立した構成にしていますので、この記事のみ読んでいただいても大丈夫です(この記事も前記事も7000文字程度ありますし…)
知能検査を受けるメリット(発達障害の診断を含む)
次のステージに進むための足掛かりとなる
前記事では冒頭しか触れなかったので、今日は詳細を書いていきます
知能検査により自身が苦手である部分を具体的に知ることはやはりメリットになると感じています
理由は「医学的根拠」である点に集約されます
WAISの有用性については様々な見方がありますが、医療現場で用いられている点、公的資金が投入される根拠となっている、世界で利用されている等の理由から、それなりの信憑性や有用性があると考えられます
自身のみで行う自己分析や情報収集に行き詰まりを感じていた私にとって、これ以上にない有効な分析材料になる可能性を感じたことも理由です
発達障害者は自己分析が難しい
精度の高い検査結果を得ることにより問題点を正確に絞ることができるため、方向性に迷わず対策を進めることができるようになります
未診断、未検査状態だと、間違った方向で対策している可能性が常に頭をよぎるのです
自分に自信がないことも影響しています
また発達障害を抱えていると自己分析が非常に難しくなります
自分は出来ていると思っている人もいるかもしれませんが、思い込んでいるだけの可能性も結構あります
発達障害者の共通点である、思い込みが強すぎる、自身を客観視できない、俯瞰的に見る能力が欠如している等の問題が隠れている可能性があるためです
私自身にもこの傾向が強くあります
他者から具体的に指摘されない限り中々自覚できないです
また指摘をもらったとしても、素直に受け入れ、自身と向き合うことができなければ意味を成しません
自分に自信がある人、それなりに色々積み上げてきた人、頑固な人、自身と向き合うことが難しい人、内省できない人などは指摘を受けても、自身に都合の良い解釈をして捻じ曲げてしまう可能性が考えられます
そういう人に実際何度か遭遇したことがあります
発達障害(の傾向)がなくても、自身を俯瞰出来ていない人は存在しますし、あくまで素人である私がそう思うだけですし、間違っている可能性も十分にあり得ますし、なにより求められない限りは余計なお世話でしかないので指摘することなどは一切ありませんが、しっかり反面教師にはします
自身で行った対策の方向性自体はわりと合っていた
と思います
特にレジのアルバイト経験は本当に役に立ちました
接客が不向きであることに気づけるか気づけないか、というのは発達障害者(特にASD)にとって非常に重要です
もちろん人によりますので絶対向いていないなどということはありませんが、避けた方が無難な傾向にはあります
発達障害者は苦手であることは避け、得意である部分を多く含む職種業種の選択が重要となります
私については対人職種を避けるところまではよかったのですが、そもそも動作性IQが不良すぎて、急速な適応を求められることに対して心身が付いて行かず、不安障害を悪化させ、認知は歪み、自律神経は崩壊しました
こういった判断はやはり主に言語性IQの方が担当しているためと思われます、なので判断は、問題なかったのですが、能力値が低い想定の更に下をいく低さだっため活かすことはできませんでした
動作性IQが境界域である世界
社会人になったばかりの頃は特に、仕事が全くできませんでした
動作性IQが境界域である(知覚統合が弱いため)ためと考えられます
実際どのような状態であるかと言うと
・周囲の状況をほぼ認識できない
(若い頃は特に全く周囲の人の存在自体を認識できない、今も意識しないと存在していないことになるし周りで起こっていること、人の動きやその理由などはわからない)
・認識、把握できないため何をすればいいのかわからない
(指示待ちになる、これは今も変わらない)
・指示に少しでも曖昧さがあると判断ができず実行できない
(若い頃はフリーズしたり勘違いしたまま作業を進めたりしがち、今は曖昧な部分には気が付き質問できるようにはなったが、質問をまとめるのに時間がかかったり、言い回しが気になったりして負担が大きい)
・そもそもわからないことをわからないと正確に認識できていない
(しばしば依頼の内容を理解できない、または理解に時間がかかる、勘違いしていることもよくある、今もあまり変わらない)
・質問(不明点を集約した言語化)が苦手
(若い頃は何をどう聞いたらいいのかわからず混乱したまま一日が終わったりしていた、今は聞けるようにはなったがまとめることが難しく時間がかかる)
一部ですがこういった状態です
結果特に若い頃は「文字通り何もできない」状態でした
なにしてたの?と言われると、まあ、だから何もできないので何もして(できて)いないのですよほんと…
他者からするとおそらく「一日中ボーっと椅子に座っているだけの人」状態だったと思われます
頭の中は色々考えていますが何もまとまらず混乱しっぱなしなので仕事は進まず、周囲からはボーっとして怠けているようにしか見えなかったことでしょう
普通の事務でしたがこの通り無理だったので、しばらくはデータ入力をしていました
単純作業でありタイピング速度はまあまあ出るためどうにかなりました
人と話すことが殆どない点も自分的には良かったです
が、それでもストレスがかなりかかっていたらしく(自覚無し)適応障害を発症し、連日吐き気と眩暈で一歩も動けない日がしばしば…という状態が2年くらい続きました
精神症状はあまり感じませんでしたが、なにせ常に吐き気で気分が優れず頭がぼーっとしていたためあまり記憶がなく…
当たり前ですがこうなるともはや普通の生活が送れません
効果のある薬に出会ってから少しずつまともな時間が増え回復しました
苦手とかそういった次元の状態ではないことを感じていただけたのではないかと思います
「今までどうやって生きてきたの?」と突っ込まれそうですが、学生時代は周囲(大人)のフォロー(過保護)により不可視化されていたと考えられます
社会に放り込まれフォローしてくれる大人がいなくなったことで一気に可視化され、いわゆる「大人の発達障害」が誕生してしまうのではないかと思われます
※正直入った零細企業の上司の指示がポンコツだった、という部分もあります
人のせいにするなと思われるかもしれませんが、現実それなりの会社はそれなりの指示しか飛んできません…後々経験することになる業界頂点の企業(東京本社)と比較すると本当にポンコツだったと改めて思いました…
その分求められるものも大きいですが
一定の年齢から発達を感じられるようになる
ある程度の年齢から突然思考力が感じられるようになった、意識がはっきりするようになった、という話は発達障害界隈では結構よく聞かれるのですが、私もこの境目がはっきりとありました
発達障害は緩やかに、だけど発達する、という性質があるためと考えられます
とはいえ同世代からは遥かに後れを取っていますし一生追いつくこともありません
年を重ねたことで発達が促され思考力が上がり、更に経験により蓄積されるデータが増えます
ASDは長期記憶が良好なこともあり、蓄積データ(過去の経験)と現在の状況を照らし合わせて、似た状況のデータを参照することがある程度できます
私に欠落している状況を読み取る力は今も向上したわけではありません
あくまで過去の経験から照らし合わせて、足りない部分、異なる部分は想像で補っているにすぎません(想像力も弱いですが)
周囲への振る舞い方も同様です
本質が理解できないためか、応用力が著しく欠如しており、少しでも異なる場面であると蓄積データは役に立ちません
更にデータをうまく活用できた経験を経ると、失敗経験が浮き彫りになり、結果自己肯定感のさらなる低下、不安障害の悪化へ繫がりました
しかもこれらは定型発達であるなら無意識に行えることです
意識的に行うしかない発達障害である私はその分脳の負荷が大きくなります
いわゆる「過剰適応」と呼ばれる状態と思われます
更に不安障害の悪化なども重なり脳の過負荷が限界を超えてしまったらしく、最終的には適応障害で潰れてしまいました
適応障害再発は予後不良
現在の適応障害は再発であり、再再発は避けることが難しい傾向にあるようで、一般的な労働の形は今後厳しくなることが予測されます
私自身も「次はない」と感じています
ヘタすると数ヶ月で再発してしまうでしょうし、現在の再発は精神症状が非常に重く出てしまい、特に急性期はぎりぎりのところにいました
若いうちに(学生の間に)診断が下りていれば、制度の活用や相談により、二次障害の発症を抑えることができたかもしれません
発達障害の問題点は、発達障害の特性そのものよりも二次障害であると言われており、実際その通りだと私も感じています
「できない経験」はマイナスでしかなかった
・失敗を繰り返すことによる著しい自己肯定感の低下
・自信喪失(積み上げることが難しい)
・認知の歪み
・健康被害(自律神経失調症、胃腸障害、睡眠障害、他体調不良等)
・不安障害の悪化
など、数え切れない様々なものを失いました
上述していますが発達障害でも年を重ねることにより少しずつ発達します
界隈では一定の年齢を境に、少しずつ発達を自覚できるようになったという人が多く、私も同じような状態です
つまり個人差はありますが、私のような極端に能力値が低い場合は特に、一定の年齢に達するまでは就労が難しい状態にあるということを意味しています
発達を実感できる年齢に達するまでは就労せず、周囲よりも長い準備期間に充てることが最良の選択肢であったのではないだろうか、と考えていますし、二次障害の発症を抑制できた可能性も感じています
確定診断が下りていれば就労移行支援制度などの利用が可能となりますので、無駄にすり減らすことなく、発達障害者が必要な知識を自身のペースで身に着けることができたのではないかと思っています
なので未診断の期間は私にとっては悪影響でしかありませんでした
もちろん、確定診断により失うものもあるとは思います
発達障害者の精神年齢は定型発達者の半分~2/3問題
医学的根拠はありませんが界隈では通説であり、私もこのように感じています
発達障害者は精神年齢が実年齢の半分~2/3程度しかないとよく言われており、実年齢より下に認識されることが多いらしく、私も例外ではありません
私も同世代と比較すると、思考力の不足を実感していますし精神年齢も幼いとも感じています(ここ数年でやっと自覚するようになりました、以前はそれすらわかりませんでした)
この問題は深刻です
少しずつ人生のステージが遅れ続け、年を重ねるごとにその差は広がり続けていくためです
若い頃にするはずだった、できるはずだったことができず、ある程度年を重ねることでやっとできるようにはなっても、もうその価値が失われていたり、タイミングが合わないことによる影響を一生受け続けることになったり、定型発達者からすると想像すら困難である問題点が山のようにあるのです
そしてこれらの問題は可視化されません
私にとって実際仕事ができたかできなかったかは問題じゃない
いや何言ってんの?
会社における評価は一番の問題でしょう?
と思うかもしれませんが私にとってはそこは問題ではないのです
発達を緩やかに、だけど確実に感じられるようになる少し前くらいからずっと、私は仕事で注意を受けていません(修正指示はあります)
客観的には「最低限の仕事はこなせていた」と考えられるのではないでしょうか
(若い頃経験した零細企業の上司がポンコツすぎたため、以降零細企業を徹底的に避けた選択が良い方向へ作用した可能性も強く感じています)
が、私はいつも、ミスが不安でたまりませんでした
若い頃の失敗経験が強く影響しているためと考えています(トラウマ)
この作業全部間違っていたらどうしよう、全然違う解釈をして進めてしまっているかも、最初に確認したけど、でも…そういえばさっき提出した表も不安だからもう一度確認したい…確認しても見逃してしまうかもしれないけど、そういえば昨日作った資料大丈夫だったのかな?何も言われていないけど他の人に修正を依頼したのかもしれないし?ミスしていたらどうしよう、怖いでもそろそろこの作業も提出しなきゃでもミスがミスがミスがこわいこわこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
私の頭の中は仕事中ずーーーーーーーーーーーーーーーーと誇張なくこの状態なのです(妄想世界へ旅立っている時を除くと)
失敗経験による不安障害の悪化と認知の歪みと完璧主義が原因です
まあ、病みますよねえずっとこんな状態では…書き出してみると結構異常な精神状態だと思いました
ですが、過去の失敗経験トラウマはあまりに強力で、コントロールがきかず恐怖と不安に支配され続け、退勤するまで解き放たれることはありません
適応障害になるまでは退勤後まで引きずることはありませんでしたが、適応障害発症後、特に急性期の記憶は混濁しており…どうだったかあまり思い出せません…泣き叫んでいた記憶はちょっとありますが…
(現在このような状態からは脱しておりますが、目が塩分で炎症を起こして痛くなるまで泣いていることはよくあります、潰れたことが自分でも想定外だったためショックから立ち直れないのです)
なので、上述した周囲より準備期間を長く取ること(就労移行支援などを利用しながら)でトラウマ体験をすることなく就職できれば、不安障害の悪化などの不適合を起こさず、比較的スムーズに適合できた可能性を感じます
ASDは嫌な記憶のこびりつきが起こりやすい性質もあるため、失敗経験はできるだけ避ける必要があり、また失敗経験により学習していくような性質では決してないのです
根性論は厳禁です
失敗も糧などと言われるとお口にガムテを貼りつけたくなる程度にはイライラします
恐らくこの状態は、多少の緩和はできても、根本的な改善は見込めないと感じています
認知行動療法なども進められてはいますがASDはあまり治癒率が高くありませんし、自費診療であり数年単位の時間がかかります
…普通の人はやらなくても済むことに対してまた時間とお金とエネルギーを奪われなければならないのか…と考えると気が滅入ると言う理由も正直あります…(ここに対してツッコミを入れられるとこれまたお口にガムテを……)
あまりこういうことばかり考えているとやり場のないよくわからない感情がもやもやと浮かび上がってきておそらく精神衛生に悪影響なのですが、ある程度の振り返りと向き合いは必要なので塩梅が難しいです
まとめ
個人的には早期の発達障害診断確定はメリットが非常に大きい
と感じています
最大の利点は、二次障害の発症を抑制できる可能性にあると考えています
また発達障害の診断が下りれば精神障害者保健福祉手帳を申請できます
障害者手帳の取得により利用できる就労移行支援の制度はかなり充実しています(一瞬だけですが利用したことがあります)
一般的な学校や職業訓練所との相違点は発達障害に特化している点です
ASDがつまづきやすい暗黙の了解、周囲との関わり方なども教えてもらえます
上述した就職してミスを繰り返し自信喪失する経験をすることなく、社会に適合できる可能性を十分に感じます
また障害者枠からの就労も可能となります
こちらは利用したことがないのでどのような状態になるかわかりませんが、主治医からは検討を勧められています
どちらも必ずしも手帳必須、ではないのですが殆どのケースで必要となる所感です
ただし診断のメリットデメリットは人により異なると考えられるため、慎重に検討された方がよろしいかと思われます
コメント返信について
発達障害、WAIS等に関する相談や質問への返信は控えさせていただいております
コメント自体は大歓迎ですしとても嬉しいのですが、責任が発生しそうなやりとりは私には荷が重く感じられてしまうのです
ちょっとマニアックな雑談という感じで、気軽に絡んでいただければと思います
共感センサーは不良なので期待しないでいただけると助かります申し訳ないです
いつも読んでくださる方、コメント下さる方、本当にありがとうございます
心の支えになっています